2004年10月28日
欧州人権条約の国内効力
連邦憲法裁判所第二法廷、2004年10月14日判決は、欧州人権裁判所の判決のドイツ国内効力について判断した。
事実関係:ある家族法事件(子供の親権に関する争い)では、欧州人権裁判所が憲法意義の原告の主張を支持する判決を下した。しかし、その事件を担当した高等裁判所は、欧州人権裁判所の判決はドイツ連邦共和国を条約当事者として拘束しているが、裁判所を拘束していない、との考え方を示した上に、異議者が敗訴する判決を下した。連邦通常裁判所は、憲法異議を認め、以下のように説明している。
① 確かに、欧州人権裁判所の判決は、ドイツ国内裁判所を直接拘束するものではない。また、刑事訴訟では1998年以来、欧州人権裁判所の判決が再審理由となっている場合を除き、確定判の既判力を破る理由にはならない。② しかし、ドイツ憲法は「国際法に開かれている」「国際人権基準を尊重する」構成を採っている。③ そのため、欧州人権条約が国内連邦法律と同様のランクであるが、国内裁判所は欧州人権裁判所の判断を最低限でも検討し、その判断に従うことができない場合(例えば、欧州人権裁判所手続きでは当事者にならない相手当事者の人権保護のために不可欠である場合)、その理由を説明しなければならない。④ 本件高等裁判所判決が欧州人権裁判所判決を無視した点は、憲法6条(家族に関する人権)を侵害する。
2004年10月13日
「紫」商標
事実関係:原告は、チョコレート製品を販売している企業。「紫」を商標として登録したが、競争相手が商品の包装に紫を基礎色として使ったところ、原告が商標侵害を主張して本件訴訟を提起した。
裁判所の判断:本件商標が有名であるため、混合のおそれが生じる。商標侵害を認める。
検討:色には限りがある。様々な色について様々な企業が商標を登録できれば、合法的な包装が不可能となる。
2004年10月11日
犯罪被害者補償金
委員会の司法協力担当総局は犯罪被害者補償金に関する新しい指令について報告している。
この指令2004/80は、2005年まで全加盟国で補償金制度の導入を要求している。さらに、被害者が行為地と別な加盟国で住んでいる場合、自分の住んでいる加盟国で補償金を申請できるようにしている。
2004年10月06日
著作権法改正法案
法務省の2004年9月27日草案。2001年のEU段階指令29/2001を受けて、2003年秋に指令実施のために必要な改正が既に行われた。今回は、そのときに議論が尽くされていない点に関する提案。具体的内容の一部:
① 私的使用(53条)の範囲について。2003年には「明らかに違法に作成された複製物」が対象外となったが、今回は更に「または公表された」場合も対象外となる。P2Pによるインターネット公表が多くの場合に私的使用の対象外となる。
② 逆に、私的使用を電子権利管理(DRM)に対しても実施できる権利を提案していない。
③ 罰則(第106条)では、小規模の違法私的使用が対象外とされた。そのため、多くのインターネット関連の著作権侵害が犯罪でなくなる。但し、何百曲も違法に音楽データを取り寄せた場合、「小規模」とはならないため、インターネット関連の全ての案件で犯罪がなくなるわけではない。
④ 電子権利管理で著作物を技術的に複製から保護する場合、著作権管理事業者が徴収す
る収益から配当を請求できない(第54g条第2項第2文)。著作権は保護を諦めて、一括清算制度に参加する選択肢と、保護技術を使って著作物の違法複製を阻止する選択肢から選ぶ必要が生じる。