I. 最近の動き
EU拡大
EU拡大条約が9月23日の官報に掲載された。
現在15カ国が10カ国増の25カ国になる。主に中央ヨーロッパ(ポーランド、チェコなど)が新規加盟。
新加盟国がEUを積極的に評価。長い過程を経て、拡大が2004年5月1日に発効する予定。
詳しくは、この委員会のページを参照。
コンピュータソフト指令案に関する議会投票
FFIIの報告によると、EU議会がコンピュータソフトの特許性に関する指令案について、実効的な制限を確保する改正案を承認した。FFIIは、議会での討論もここで公開している。この討論を見る限り、多くの議員がソフト特許に対する批判を受け入れた。商売方法に関する特許性は完全に論外との雰囲気であり、その他の多くの制限の必要性を強調する発言が多い。
いい知らせではあるが、まだ、現時点で最終的な結論は分からない。しかし、ソフト特許の合法化を要請した側に「揺れている車に乗ることになる」との予測が、既に実現した、とは言える。
問題の所在:例えばAmazon.comの1click、open source。
欧州特許条約第52条。
欧州特許条約とEUの関係。
日米での扱い、欧州特許条約での扱い。
ソフト特許を認める理由:平等問題の理由、日米との関係。
問題点:間接的には金融業界、その他すべての分野に特許制度を拡大、相互妨害、著作権保護との関係。
II.EC条約第28条、Cassis de Dijon 判例
「輸入についての数量制限およびこれと同等効果のすべての措置は加盟国の間で禁止される。」
EC裁判所1979年2月20日。
事実関係:ドイツのREWE社がフランスからリキュール(甘い味のアルコール飲料)「Cassis de Dijon」輸入を計画。必要な許可が拒否。理由:アルコール分が20パーセント以下、ドイツ国内法は「リキュール」について最低25パーセントを要求。フランスでは、「Cassis de Dijon」が合法的に販売。
加盟国のリキュール法制が統一されない場合:品物流通の妨害。
必然性がある場合のみ許される:
租税管理・健康の保護・不正取引防止・消費者保護。
消費者保護:表示義務で充分。
隠された差別 (輸入品と国内品について平等に妥当する規制)の場合、輸入国家主義・輸出国家主義。
統一法制・調和の必要性。
食料品のラベルに関する指令79/112(1978年12月18日、指令2000/13により、諸改正を総括):
第2条:誤解を招くラベルの禁止。
第3条:必要な情報: 材料 、賞味期限 、アルコール分。
「自然食良品」ラベルに関する規則2092/91も参照。
III.Keck 判例
EC裁判所93年11月24日、NJW 1994, 121。
事実関係:フランスの業者Keckが品物を仕入れ価額以下の価額で販売。
フランス国内法違反、刑事事件。
「輸入品の販売促進が妨害される」と、第30条(当時)違反の主張で弁護。
結論:第28条(当時第30条)違反がない。
要件:国内法が販売方法を規制する、国内販売業者全員に妥当、輸入品・国内品に平等に妥当。
判例変更? Yves Rocher判例(第9回)との関係:明白でない、制限的解釈への傾向 。
IV.EC条約第234条(旧第177条):通常事例
「EC裁判所は、次の事項について中間判決を行う。
(a)この条約の解釈
(b)共同体の機関および欧州中央銀行の行為の効力および解釈
(c)閣僚理事会が設置した機関の規約にこの旨の定めがある場合に、当該規約の解釈。
このような問題が加盟国の裁判所に提起され、当該裁判所が判決のためにこの問題についての決定を必要と思う場合には、この問題についてEC裁判所に決定を求めることができる。
このような問題が加盟国の裁判所に審議され、当該裁判所の決定が上告・控訴で争うことができない場合、当該事件をEC裁判所に付託しなければならない。」
EC裁判所が扱う訴訟のなかで一番重要。
EC条約の一番多くに引用される条文。
ドイツの地方裁判所がEC裁判所に解釈を要求。
EC裁判所と国内裁判所の対話。
その他:条約侵害の訴え、委員会の場合EC条約第226(旧169)条、他加盟国の場合227(旧170)条、取り消しの訴え、第230(旧173)条。
V. EC条約第234条:先決手続きの特徴
上告裁判所との比較。
民事訴訟: LG(地方裁判所)- OLG(高等地方裁判所)- BGH(連邦通常裁判所)。
第一審、第二審、第三審:決定を求めることができる。
第三審:付託しなければならない。
上告との相違点 :
①当事者の判断ではなく、(国内)裁判所の判断、②EC裁判所の判決が最終的でない、③EC裁判所は国内法の解釈について管轄を有しない(そのため、「国内法規がEC法違反のために無効」という質問 は間違いであり、正しい質問:「国内法が無効となるように、EC法を解釈すべきか」)、④EC裁判所が付託する裁判所より地位が高いとは言えない。