2003年10月22日

ドイツ法講義 第17回

I. 最近の動き

首相の髪の毛
連邦憲法裁判所第1法廷第1部会8月26日決定(9月26日公開)。
原告がGerhard Schröder首相。被告は通信社として首相に関する記事で、インタビューされている人の次のような発言を公開した:
「彼の完全に黒い髪の毛は不信な感じをする。髪の毛を染めることを止めた方が説得力に貢献するだろう」、との発言である。
原告は、髪の毛を染めていない、と主張した上に、被告に対し、本件発言の再度の掲載を止めるように、停止の訴えを提起した。
一般人格権侵害が成立、とHamburg高等裁判所が判断した。連邦憲法裁判所は、第5条侵害を理由としたこの判決に対する憲法意義を却下した。真実でない事実主張については、第5条で保護する必要がない。また、被告は、本件で必要な注意義務に違反した。特に急ぐことがない本件記事を公開する前に、原告に確かめるべきであった、と連邦憲法裁判所が述べた。

II. 民法第249条:BGHZ75,230(79年)、万引き

被告が12マルクの物を万引き。原告が損害賠償を請求。
万引きを処理する従業員の人件費:民事訴訟法第91条、認めない。
万引きを逮捕する場合の特別手当:50マルクまでは損害。
理由:所有権を保護する措置だが、加害者の個別行為から生じる費用。

III. 民法第812条:BGH ZIP1994,1098、偽造振り込み

「他人の給付により、または他人の負担となるその他の方法で、法律上の原因なくあるものを利得した者は、その他人に対して返還義務を負う。」
銀行Dの従業員と共同偽造による18万マルクの振り込み、Xの口座からYの口座へ。
給付の返還:給付がない。
非給付の返還:「利得」+「法律上の原因なく 」+
「他人の負担となる」?偽造についての危険は銀行に。
原告の口座が法的には負担なし、銀行に訂正を要求できる。
従って、「他人の負担」とは銀行の負担、原告の請求が成立しない。

IV.民法第812条:BGHZ 116, 251 (91年)、無効契約

XとYが土地について売買契約。公証人契約では金額の一部を隠す。
土地についての契約:公証人が必要、無効の原因。
両方の当事者が給付の返還を請求、無因主義。
その際、銀行費用など:請求できない。理由:代金についての利息を請求できる。

V. 民法第138条:BGHZ 123, 368(93年)、障害者の相続と生活保護

Y1とY2は兄弟、Y1は精神障害者。親の遺言ではY2が72パーセント、Y1が財産の28パーセント。Y1が先位相続人、Y1の死亡後は財産がY2に(後位相続人)。Y2は遺言執行者。
Y1に生活保護を提供する市Xが財産を強制執行の対象にすることができない。
遺言が良俗違反として無効と主張。
良俗違反が否定。理由:Y1には子供がいない、極端に不利とは言えない、私的自治、障害者の家族の負担、生活保護より良い生活できることが親の狙い、親の責任を果たす 、公予算の負担軽減より子供の将来を重視することは当然 。

Posted by Karl-Friedrich Lenz at 2003年10月22日 12:55 | TrackBack
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