2003年11月10日

EU法講義第19回


I. 最近の動き

遺伝子組み換え食品の国境を越える移動に関する規則
1946/2003が11月5日の官報に掲載。内容:
① EUからGMOを輸出する際に、当該国家の当局に報告し、その報告資料を5年間保管する義務。
② 委員会がGMO許可について決定した場合、当該決定を国際情報共有機関(Biosafety Clearing-House, BCH)に報告する義務。
③ 輸出業者は輸出国家当局の当該GMOに関する決定を尊重する義務を負う。

II. EC条約第39条:「労働者派遣指令」

建設業界で社会問題、ドイツとポルトガルと時給で格差。
20万人EU労働者がドイツへ派遣、ドイツの会社、労働者が競争力ない。
域内市場と競争、失業対策の国内利益。
96年2月26日ドイツ「労働者派遣法」が成立、11月12日労働協約の一般拘束宣言、97年から17マルクの時給が最低基準、「郷に入っては郷に従え」。
その後、96年12月16日指令96/71、派遣の場合、派遣先の最低賃金基準を適用。

III。(第三章、業界別EU法)テレビ業界欧:州作品率

業界別にEU法を説明する理由:第1章が入門、第2章が全体の把握、第三章は実務での効力の把握が狙い。
EU法の実務では業界別の規制が多い。選定基準:個人的関心、最近の動き、重要な業界。
指令89/552第4条第1項
「テレビ局はニュース、スポーツ番組、ゲーム番組、広告、ビデオテキストおよび販売番組以外の放送時間の主要部分を、第6条で定義された欧州作品に割り当てるように、加盟国が適切な手段で実践的可能な範囲内に配慮する。テレビ局の情報、教育、文化、娯楽についての視聴者に対する責任を配慮して、主要部分が適切な基準で徐々達成されるべきである。」
目的:欧州製作者の保護、理由:アメリカと比べて構造的に不利。
その他の領域での保護主義:車、農業。
97年改正(97年6月30日、指令97/36)で販売番組も対象外。
法的拘束力?
「実践的可能な範囲内」。
「適切な手段」 第三条第2項「法規制のなかの適切な手段」。
「徐々に」達成される「べきである」。
前文を配慮する目的的解釈。
第4条第3項:加盟国の報告義務、委員会の監督。

IV.テレビ指令とドイツ憲法

ドイツが欧州作品率に反対、ドイツ連邦憲法裁判所 95年3月22日,EuGRZ 1995, 125。
ドイツが連邦国家、テレビについては連邦の管轄がない。
州の訴え:政府が指令に賛成した行為がドイツ憲法に違反、当該州では指令が妥当しない。
EU法と国内憲法の関係、憲法違反(管轄)によって指令をドイツ国内無効とする可能性(爆弾)。
BVerfGE 89, 155 (Maastricht):コントロールが可能、しかし協力関係、不可欠な基本権水準に限る。
本件訴訟が不適法。まだ連邦が州に指令実施を命じた事実がない。

V. 広告時間制限

指令89/552第11条第3項 「映画、テレビ映画のような視聴感覚作品の放送は、予定放送時間が45分以上の場合、満45分ごとに一度中断できる。シリーズ、続き物、気楽な娯楽番組、記録映画は対象とならない。予定放送時間が二つ以上の45分期間を最低20分に超える場合、さらに一度中断できる。」
指令89/552第11条第3項の目的:視聴者としての消費者を保護。
視聴者の利益:広告制限。
指令以前の実務:映画の最初に広告を少なく、最後に多数。
広告を見る興味、利益。
制限の解釈
「満45分毎」:広告時間を含むか。
映画のみの時間「実際時間主義」、広告も「全部主義」。
全部主義の方が制限として緩い、あるチャンネルの場合この解釈によって年間40億円以上の売り上げが動く。
委員会が「全部主義」の解釈、改正作業で議会の「実際時間主義」要求を拒否。
EC裁判所のARD判例(99年10月28日, C-6/98, curia.eu.intによる)も「全部主義」、但し、加盟国が「実際時間主義」を採用しても、指令侵害とならない。 理由:文言解釈では明白でない。目的的解釈:テレビ指令の目的は国境を超えるテレビ放送の自由の確保。従って、この自由を制限する規定を限定的に解釈、放送の自由を幅広く認める必要がある。
制限の評価
広告への注意が視聴者の給付、番組の値段。
値段は競争によって決めるべき、限度を付ける行為は独禁法違反となる。
国家が要求する競争制限。
制限の存在理由がない、広告が多いと思う視聴者はチャンネルを変えれば良い。

Posted by Karl-Friedrich Lenz at 2003年11月10日 13:09 | TrackBack
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