I. 最近の動き
EUがマドリード商標議定書(Protocol relating to the Madrid Agreement concerning the international registration of marks adopted at Madrid on 27 June 1987)に加盟
規則1992/2003(10月27日)により、EU商標に関する規則40/94を改正(OJ L 296/1, 11月14日)。EUから提出する国際出願に関する方式など、外国から生じる出願の域内効果などについて、新たな規制を整備。
同時の閣僚理事会決定(OJ L 296/20)により、加盟を決定、委員会に、関連業務を委託。この条約により、国際登録出願の効果が国内と同様に生じる。
UEFA共同販売仕組みに関する独禁法例外
復習:第81条第1項、第3項。
委員会7月23日決定、官報L 291/25 (11月8日)。
事実関係:Champions Leagueについて、放送権はチーム毎ではなく、UEFA全体でしか購入できない。
第1項に対する侵害。
しかし、第3項による例外を認める。共同販売により、リーグ全体について品質の高い番組制作が可能、その利益は消費者にも還元される、など。
賭博業界にも自由化の新しい風が吹き始める
EC裁判所2003年11月6日判決、Gambelli, C-243/01。
イギリスの賭博業者のためにイタリア国内で斡旋(あっせん)業務を行ったため、Gambelli氏が刑事起訴された。弁護側は域内市場違反を主張。
復習(第10回参照):Schindler (1994), Läära, Zenatti(1999)判決により①詐欺対策②賭博依存症対策③加盟国収入確保の利益により、制限が正当化される。結果的には、賭博業界のみで域内市場が実施されない。
今回の判断:上記①②の観点により、依然として制限は正当化される可能性があるが、相当性の原則および差別の禁止が必要。本件では、イタリアが収益上昇の目的で、逆に国内賭博に関する広告活動をしたため、観点②による正当化は相当性の原則に反する。また、本件事実関係のもとでは、詐欺の可能性がほとんどないため、差別を排除する形で判断する場合、観点①による正当化も無理。観点③は、正当化の力がない、と明白に断言。
その結果、賭博業界についても、国境を越える競争が可能となる。
II.(第三章、業界別EU法)通信業界:扱う理由
通信とテレビの融合:CNNその他テレビ局のインターネット放送。放送から通信の傾向。
情報化社会の基礎、競争力の鍵(個人段階も)。
委員会のホームページ:europa.eu.int。
98年自由化。
III. 完全競争指令
96年3月13日、指令96/19。
委員会による立法(90年競争指令と同様)。
全ての独占権を廃止、対話電話サービスは98年1月から、その他すべて96年7月から。
実施期限9ヶ月、97年1月11日まで。
前文:通信網整備の課題が解決、例えば家庭の電話配置率がドイツでは90年80パーセント(旧東の遅れ)、94年まで89パーセントまで上昇。
スペイン・アイルランド・ギリシア・ポルトガルが5年間の経過期間を申請できる。
1999年11月までほとんど実施。
IV.暗号規制
Lenz「EU法およびドイツ法における暗号技術」青山法学論集40-1(98年),152参照。
デジタル署名、暗号利用の制限。
デジタル署名について:指令1999/93/EC、1999年12月13日。
第3条:事前許可不要。
第4条:域内市場、所在地での監督。
第5条:一定の条件を充たす電子署名に証拠能力。
第6条:関連サービス提供者の損害賠償責任。
利用制限:97年10月8日の委員会報告では鍵委託などに消極的な評価。主な理由:域内市場、強力暗号の入手が簡単、暗号政策の新たな弱点、費用、暗号技術の利用には逆に犯罪防止の効果も、市民や企業がインターネットを信頼できないなら情報化社会が遅れる、一方の当事者に打ち明けを要求することが可能。
現在のEU輸出制限規則1334/2000。
145ページのGeneral Cryptography Noteは一般消費者に販売されているソフトを対象外としているが、条件のdは、鍵の長さを64bitに限定した。しかし、2001年3月の規則458/2001により改正され、上記dのところの鍵に関する限定が削除された。
この改正は、EU単独の判断ではなく、Wassenaar協定の加盟国が2000年12月1日に決定した規制緩和を実施しただけである。
V.電子取引指令
指令2000/31/EC、2000年6月8日。
第3条:テレビ指令と同様、原則は情報源での監督。
広告規制、第6条以下:
第6条(a):広告であることが明白。
第7条:電子メールによる勝手広告(spam)について:受信の時点で広告であることが明白、opt-out。その後、指令2002/58(2002年7月12日、前回「最近の動き」で紹介)で規制が強化。Opt-outに関する保障と同時に、opt-inを原則に。
第8条:弁護士など規制を受ける職業でも、ホームページを開くことが倫理違反でない、自由。
第12条以下:接続業者の民事・刑事責任。単なる接続提供、一時保存(Cache)については、責任がない。会員情報提供(hosting)の場合、要請に応じて削除が充分、監視義務を否定。