I. 最近の動き
百貨店等での法律相談
新聞記事によると、ドイツで初めて百貨店、商店街、郵便局など消費者の出入りが多いところで法律事務所経営が開始された。報酬の金額は法律相談の場合、50ユーロの基本料金で始まり、依頼がある場合、通常の規定による(弁護士手数料法)。相談は原則として郵便局・旅行代理店と同様に、他人に見られる状況となるが、必要に応じて、個室も使う。経営者は積極的に拡大することを考えている。
第2回「最近の動き」で紹介した通り、電話による固定料金法律相談が違法でない、と連邦通常裁判所第1法廷が2002年9月に判断した。市民により近い法曹を目指す場合、法律相談を利用しやすい新しい形態が参考になる。
II.アルコールとカンナビス(インド大麻)
連邦憲法裁判所 94年3月9日、BVerfGE 90, 144。
アルコール、タバコなど:刑事法・禁止がない。
大麻の場合、アルコールと比較して健康侵害の程度が同じから、アルコールを禁止しないながら大麻だけ禁止するのは第3条違反との主張。
健康侵害の程度のみが基準なら、確かに問題。
しかし、その他の基準:酔う目的でない利用法、社会的な認容、アルコール禁止制度の実効性に疑問など。
従って、差別の妥当な理由があるため、憲法違反がない。
III.恣意的判決
連邦憲法裁判所 92年11月3日、BVerfGE87,273と連邦憲法裁判所 92年4月7日、BVerfGE 86,59。
BVerfGE 87,273: 複数の裁判所が同一法規を解釈して結論が異なる場合でも、第3条違反がない。
裁判官の自主性が保障されている(基本法第97条)、他の全ての裁判所が別な解釈を採用する場合でも、裁判官が自分の考えに基づいて判断できる、司法が必然的に統一的でない。
制限:恣意的な判断。
要件:客観的にみて絶対に支持不可能な解釈。
裁判官が当然適用すべき法規を見逃した場合。
裁判官が法規の内容を極端に勘違いした場合。
本件の判断にはある程度の理由が認められるため、恣意的とは言えない。
BVerfGE 86, 59:利用目的変更法の解釈。
住居確保のため、住居を営業目的(事務所・店)などに利用する場合には官庁の許可が必要。
本件では、二つのアパートを改築して一つにする計画について、地方裁判所が当該法律を適用、許可を要求。
しかし、別に営業目的に利用する予定がなく、立法の文言からみて恣意的な解釈。
憲法異議に理由がある、判決破棄・差し戻し。
IV. 基本法第14条:借り主の占有
「(1)所有権および相続権は、保障される。内容と限界は、法律でこれを決める。
(2)所有権は義務を伴う。その行使は、同時に公共の利益に役立つべきである。
(3)公用徴収は、公共の利益のためにのみ許される。公共徴収は、補償の方法および程度を規律する法律により、または、法律の根拠に基づいてのみ、これを行うことが許される。補償は、公益および関係者の利益を正当に斟酌して、これを定めなければならない。補償の額について争いあるときは、通常裁判所に訴える途が開かれる。」
借主保護:93年5月26日、連邦憲法裁判所判決(BVerfGE 89,1)。
賃貸借の場合、使用賃借人(借り主)を保護:解約が制限され、正当な理由がない限り解約が無効(民法第564b条)。正当な理由:自分または家族のために必要、賃借人の支払い遅滞など。
使用賃貸人(家主)側:所有権、民事裁判で解約を認めない解釈の際に配慮。
使用賃借人(借主):占有、占有も基本法第14条における「所有権」か。
民法第823条の所有権概念・憲法の所有権概念。
憲法の場合:幅広くすべての財産権。
借り主の占有:権利、理由を説明する請求権、損害賠償請求権(その他の権利)。
従って第14条における「所有権」。
両方の当事者から憲法異議が可能。
但し、本件では地方裁判所の判断に憲法違反が認められない。
V. 基本法第14条:強制競売、BVerfGE 42,64(1976年)
summum ius, summa iniuria。
AとBが離婚、相場が12万マルクの住居について清算のために競売。
Bの弁護士が費用節約のために競売に出廷しない。
Aが2000マルクで落札、Bの憲法異議(第3条、第14条)。
憲法異議認容。第14条が自由の基礎、特に重要。
区裁判所はBに競売申請の取り下げを薦めるべきであった。