I. 最近の動き
母性保護と差別
連邦憲法裁判所第1法廷11月18日判決、12月9日公開。
母性保護法:子供が生まれる6週間前および生まれてから8週間の間には、女性を働かせることが禁止されている。その間の給料は継続的に受ける権利がある。
そのために必要な予算は、使用者・健康保険機関・税金で確保する。その際、中小企業の場合、分担制度が実施されている。女性従業員の数、出産の数と関係なく、従業員一人当たりの費用が固定金額となる。その結果、採用に関する判断の際、母性保護に伴う費用を配慮して女性を差別する可能性がなくなる(女性の場合、勤務が中断される非金銭的な問題は残るが)。
本件では、100名前後の従業員がいる企業で、分担制度に参加しないため、個別的に原告の従業員に出産手当を支払う義務が発生したが、その支払いを拒否した。労働裁判所で敗訴した後、連邦憲法裁判所で、この制度が憲法を侵害していることを主張した。
第1法廷は憲法侵害を認めて、立法者に、問題を2005年末まで解決するように命令した。この制度は現在、憲法第3条を侵害している。分担制度の適用範囲外の領域では、使用者の出産に伴う経済的負担が採用判断の際に女性差別の原因になりうるため、許されない。EUの1976年指令などの影響を認め、以前の逆の考え方を採用した判例(BVerfGE 37, 121、1974年)を変更した。当時はまだ、「使用者が当該負担を嫌がるなら、女性を採用しなければ良い」、との説明の上で12条(職業の自由)に対する侵害を否定したが、この考え方は構造的な女性差別を肯定してため、変更が必要。
II.基本法第2条第2項:中絶義務
「(2)各人は、生命・身体を害されない権利を有する。移動の自由は、不可侵である。これらの権利は、法律の根拠にもとづいてのみ、これを侵害することが許される。」
連邦憲法裁判所第1法廷1997年11月15日判決、NJW 1998,519(第16回の復習)。
被告が泌尿器科専門医、Xに断種、失敗のためXの配偶者が妊娠、子供が生まれる。
配偶者の訴えに基づいて子供の生活費と慰謝料を認める判決、医者の憲法異議。
憲法異議を6対2で棄却。第2法廷の1993年の判決(BVerfG NJW 1993, 1751 = ジュリスト1034,68)では確かに疑問が、本件は直接妊娠中絶事例ではないため、大法廷を開く必要がない(5対3)。
生命の保障と訴訟法:医者は生命保護の必要性を主張できない。
III.基本法第2条第2項:核兵器に対するデモ
連邦憲法裁判所BVerfG NJW 1993, 2432。
被告人が米軍基地の柵を切り壊す、「平和基地」を作る。
器物損壊、住居侵入罪などで有罪。
基本法第2条第2項を理由に憲法異議。
核兵器による周りの市民への危険?
安全基準が充分、危険でない。保護義務の場合、立法者の裁量。事故対策が充分。
IV.基本法第12条:司法試験
「(1)すべてのドイツ人は、職業、職場および養成所を自由に選択する権利を有する。職業に従事することは、法律により、または法律の根拠にもとづいて、これを規律することができる。」
連邦憲法裁判所1991年4月17日, NJW 1991, 2005。
Aが第2次司法試験で6.38点(18点満点)しかない、より良い評価を請求する行政訴訟。
Bが第1次司法試験で2回目不合格(再度受験資格なくなる)、再評価を要求。
主観的職業要件、相当性原則。
基本権が法治国家的な手続きを保障。
複数試験官、受験生が評価を知る権利、受験生が再評価を要求する権利、但し:裁判所による再評価はない(他受験者との比較ができないため)、成功の場合:試験官による再評価を命令、通説だけが正解との採点基準はいけない。
日本の現行司法試験の問題点:上記基準から「法治国家的手続き」を保障していないため違憲。更に、国家の予算を配慮して客観的制限の要素もあるため、仮に試験手続きの問題を解決しても、ドイツ基本法第12条の基準では疑問。
V. 基本法第12条:弁護士検索サービス
連邦憲法裁判所1992年2月17日, NJW 1992, 1613。
A(弁護士)が自分の専門を「家族法」と申請、「弁護士検索サービス」に参加。
参加費用が初期50マルク+月30マルク。
弁護士会が違法な広告とみてAに対し懲戒処分。
連邦憲法裁判所:この場合、基本法第12条から考えて広告が違法でない。
理由:確かに「家族法」の専門家、大々的な広告でない、市民が情報を必要、弁護士会も専門家のリストを作成。
禁止される広告:要請なく依頼者に声をかけること、大々的な広告など。
結論:弁護士検索サービスが違法でない。