委員会の司法協力担当総局は犯罪被害者補償金に関する新しい指令について報告している。
この指令2004/80は、2005年まで全加盟国で補償金制度の導入を要求している。さらに、被害者が行為地と別な加盟国で住んでいる場合、自分の住んでいる加盟国で補償金を申請できるようにしている。
CELEXデータベースの利用が2004年7月1日から無料となった。宛先は
europa.eu.int/celex/
法律に関する一時資料(法律・判例など)は著作権で保護されていないため、これらの情報が無料で利用できることが時代の流れ。情報化社会において、その他の公的機関が発表する情報も、再利用を積極的に可能とする指令2003/98(Re-use Directive)が似たような発想に基づいている。
アメリカのTopps社がEU各国で販売したポケモンカードについて、平行輸入を妨害したことを理由に、委員会が160万ユーロの低額科料処分を行った。
委員会の捜査によると、Topps社が最大2.5倍の値段格差を維持するために、各輸入業者に平行輸入を止めるように圧力をかけたが、違反期間が短いこと、指摘された時点で即時違反を停止したことなどを配慮して、軽い処分にした。
委員会の5月14日決定は、1995年データ保護指令(95/46)第25条第6項に基づいて、アメリカ内陸安全省(Department of Homeland Security)の関税・国境保護部(Bureau of Customs and Border Protection)に飛行機乗客データを提供することを可能とした。
データ保護指令は、一定の最低データ保護基準をEU内で整備している。①目的限定の原則②データ品質の原則および相当性の原則③明瞭性の原則④安全の原則⑤到達および訂正の権利、などがその内容である。
本件で問題となる状況は、アメリカの2001年テロ事件を受けての法律によって生じた。当該法律は、航空会社に乗客のデータを報告する義務を課した。EU関係の会社は、当該データを渡す場合、データ保護指令に反する可能性がある。その問題を解決するためには、委員会とRidge内陸安全大臣と一年以上の交渉を経て、データの扱いに関する一定の限定・保証の約束を得たため、委員会は当該約束に基づいて「十分なデータ保護の水準」指定を行った。
この問題の背景についてはLenz「EUデータ保護法の域外効果」EU法の現状と発展(2001年)135-155参照。
2004年4月28日規則874/2004(OJ L 162/40)は、新しい最高級領域名(Top Level Domain, TLD)「.eu」に関する実質的な基準を制定した。特に先行商標所持者との関係における紛争解決基準を整備している。
2004年5月1日(拡大条約の発効)の規則930/2004(OJ L 169/1)は、マルタ語の翻訳者が不足している状況を背景に、マルタ政府の要請を受けて、EU公式文書のマルタ語翻訳を30ヶ月の経過期間中に、閣僚理事会および議会が制定した規則に限定した。
5月1日から拡大が発効し、新たに10カ国がEUに加盟することにより、4億5千万人の加盟人口でアメリカを大幅に上回ることになる。ポーランド、ハンガリー、チェコなど元共産圏の中央ヨーロッパの国が中心。
様々な拡大の条件を決定する拡大条約は、2003年9月23日の官報L236に掲載されている。例えば、現在の状況ではまだ人件費の劇的な格差がある。ドイツでは、一時間当たり28.5ユーロに対し、隣のポーランドでは5.4ユーロである。
そのため、多くの新EU国民が旧加盟国に移民する懸案があるが、スペイン・ポルトガルの加盟と同様に、7年間の経過期間を置くことを可能とした。しかし、委員会によると、スペイン・ポルトガルの場合、これらの国の経済的成長に伴い、当該経過規定が予定より早く不要となった経歴がある。現在は、自分の国以外の国で滞在して働くEU国民は全体の2パーセントに過ぎない。
ドイツ連邦法務大臣の発表によると、4月21日には、一定の場合における全ヨーロッパ執行名義に関する規則が成立した。
①金銭請求権であること②債務者は当該請求権を否認していないことを前提に、裁判所の判決・決定、和解、公証証書が全領域で個別追加手続きなく妥当することになる。
支払いの促進、モラルの向上が期待されている。
Axel H. Hornsのブログで委員会のこの発表が引用されている:
委員会は2004年4月7日で、1996年の規則240/96に変わる一括除外を決定した。
今回は、特許とノーハウに限ることなく、著作権・意匠に関する契約も対象とする。新しい規制は新規則と方針(guideline)からなる。
競争相手同士間の契約の場合、シェアが20パーセント未満、その他の契約の場合、シェアが30パーセント未満の場合には、新規則が適用される。その領域では、規則が列挙している特に競争を侵害する程度が重い一定の約款(hardcore restrictions)以外の約款が自由となる。
規則の適用範囲外では、内部方針に基づいて判断することになる。新規則と方針が近い将来にインターネットで公開される予定である。
日本で例えばこの日経記事で紹介された通り、EU委員会はMicrosoftに対し、新記録となる5億ユーロに近い科料処分を行った。
今回の判断の根拠はEC条約第82条(独占の濫用を禁止する規定)。独占の濫用として指摘した行動は、PC基本ソフトWindowsの独占を利用して、サーバ市場、再生ソフト市場の独占を狙う行動である。科料と同時に、委員会はMicrosoftに対し①互換性(interoperability)を確保するために必要な情報を競争相手を提供すること(当該情報に知的財産権による保護がある限り、有料でも構わないが)と②Windows Media Player (WMP)が抱き合わせ販売されていないWindowsを差別なく販売する、と命令した。
なぜEU委員会がアメリカ企業に対しその処分を行う権限があるのか?Microsoftが違法と確認された行動を停止しない場合は、どのような制裁があるのか?今回の処分に対する上訴は可能か?これらの質問については、委員会は上記FAQで説明している。
一部の解説者は、5億ユーロ程度では、Microsoftの財政状況から考えて影響を期待できない、と主張している。違法な行動から生じる利益はこの金額より大きいのため、Microsoftが今回の命令を遵守することを期待できない、と。例えば、Robert X. Cringelyの4月1日記事はそのように主張している。
しかし、英語Blogで指摘したように、この見解には疑問がある。委員会もFAQで、このような命令が無視されたことが過去にない、と述べている。もし、Microsoftが今回の処分を遵守しない場合、委員会は新たな科料処分を出すことも、規則1/2003の第24条に基づいて、強制金処分を行うことも可能である。
3月4日、衆議院の憲法調査会の招きを受けて、EU代表部のZepter大使がEUの憲法の将来について説明した。代表部のこの件に関する発表はここにある。
現在、憲法の案が成立しているが、政治的な合意が依然として課題である。
Zepter大使の説明によると、憲法案の主な特徴は以下の点である:
①簡潔で分かりやすい文書 ②民主的正当性の改善 ③EU機能の効率化 ④欧州安全・防衛政策 ⑤EU法の国内法に対する優越性 ⑥EU外務大臣の設置など。
但し、政治的合意が未定の原案について成立が不確定である。
Zepter大使の1月22日の演説は、日本とEUの経済関係に関する統計に触れているが、今は、北アメリカよりはEUに日本が投資している額が2倍も高いようです。2002年度では、日本の海外投資の41パーセントがEUに向けられていた。その金額が2001年度と比べて38パーセントも増加した。
逆に、日本に投資する外国資本の32パーセントがEUからであり、最大の割合となっている。
委員会はフランスに対し、ガイド資格に関連する訴えをEC裁判所で提起する予定である(eurobusiness.com記事)。
フランスでは、一定の特に有名な観光名所(Louvre等)でガイドを務めるために許可を要求している。理論上、当該許可は外国人にも与える可能性があるが、実質的には、許可を受けることが困難である。
域内市場の利益、競争の利益は、外国のガイドがフランスで自由に活動できることを必要としている。その反面、だれでも自由に案内できる場合、案内の内容がいい加減で適当なことになる可能性があるため、規制の維持の理由になりうる。
アイルランドが1月から閣僚理事会の議長を務めることになったが、アイルランドのAhern通信担当大臣が最近、「高速インターネット接続」の普及を優先課題である、と説明した(eurobusiness.com記事).
12月の首相閣僚理事会も同様に、この問題を優先課題として強調したが、以前から戦略的に重要と考えられている。その結果、2002年の高速接続が倍近くの1750万人まで伸びたが、今後、特に教育機関の普及率を改善する予定である。
I. 最近の動き
委員会が国境を越える会社合併に関する指令案を発表
委員会の11月18日発表。
委員会のFAQ: snurl.com/33pl
指令案の文言:snurl.com/33pm
問題点:労働者の経営参加。ドイツの場合、共同決定法などにより、積極的に認められているが、イギリスでは伝統的に認められない。その結果、多くの場合には、国境を越える合併ができない、迂回のために、両方の会社を清算し、新しい会社の設立という費用と時間がかかる手続きが必要となる。
以前の指令案がEC議会で労働者経営参加問題で否決されたが、今回は、交渉による解決が原則で、交渉が成功しない場合には、現状維持の扱いになる。
次回議長国アイルランドの重点政策
eubusiness.com記事:snurl.com/33pp
アメリカとの関係を修復、憲法制定手続きの終了など。
II.電子取引指令
指令2000/31/EC、2000年6月8日。
第3条:テレビ指令と同様、原則は情報源での監督。
広告規制、第6条以下:
第6条(a):広告であることが明白。
第7条:電子メールによる勝手広告(spam)について:受信の時点で広告であることが明白、opt-out。その後、指令2002/58(2002年7月12日)で規制が強化。Opt-outに関する保障と同時に、opt-inを原則に。
第8条:弁護士など規制を受ける職業でも、ホームページを開くことが倫理違反でない、自由。
第12条以下:接続業者の民事・刑事責任。単なる接続提供、一時保存(Cache)については、責任がない。会員情報提供(hosting)の場合、要請に応じて削除が充分、監視義務を否定。(この第12条以下は第11回でも扱った)。
指令に関する第1回実施報告(2003年11月21日):委員会が重大な立法の実施・実効性・改正の必要性などについて、定期的に報告する。今回の報告では、指令には既に「大きな積極的効果」(substantial and positive effect)がある、と評価している。実施期限が2002年1月でしたが、2003年11月までは、12カ国で実施が完了し、残り3加盟国でも立法が進んでいる。現在は特に改正を提案する必要がないが、インターネット上の賭博(現在、指令の適用範囲外)については、最近問題とされた事例を配慮して、立法提案を検討する必要がある。2003年11月現在の欧州インターネット利用者が1億8500万人と推定され、インターネット上の取引が急激に成長している。
III. データ保護指令
1997年12月15日、指令97/66/EC(翻訳:青山法学論集第41巻第1・2・3号合併号182頁)を改正し、
2002年7月12日指令2002/58/EC。
第5条:加盟国は通信の秘密を保護しなければならない:従って、暗号の規制が許されない。
第6条:利用詳細データ。清算のために必要でない限り、利用詳細データは通信終了後、即時削除するか、匿名化する義務。従って、現状ではインターネット24時間体制監視は原則として許されない。但し、第15条第1項により、加盟国は犯罪捜査のために必要であると判断している場合、保存義務を整備することができる。
第7条:利用者は、詳細利用説明のない請求書を受ける権利を有する。
第12条:電話帳から登録を削除する権利など。
第13条:勝手広告。第1項:自動電話、ファックス、メールによる広告は、原則として受信者の事前同意を必要とする。
第2項:何らかの取引の際に客がメール宛先を教えた場合、客が反対しない限り、広告メール送信が可能。
第4項:発信者を隠す場合、今後の受信を拒否するための宛先を用意しない場合、絶対違法。
IV.ソフトウェア業界(第14回の復習):コンピュータソフト指令案に関する議会投票
FFIIの報告によると、EU議会がコンピュータソフトの特許性に関する指令案について、実効的な制限を確保する改正案を承認した。FFIIは、議会での討論もここで公開している。この討論を見る限り、多くの議員がソフト特許に対する批判を受け入れた。商売方法に関する特許性は完全に論外との雰囲気であり、その他の多くの制限の必要性を強調する発言が多い。
問題の所在:例えばAmazon.comの1click、open source。
欧州特許条約第52条。
欧州特許条約とEUの関係。
日米での扱い、欧州特許条約での扱い。
ソフト特許を認める理由:平等問題の理由、日米との関係。
問題点:間接的には金融業界、その他すべての分野に特許制度を拡大、相互妨害、著作権保護との関係。
V. 金融業界、生命保険:問題を扱う理由
青学生の就職先に金融が多い、経済的意義。
市民のために重要な分野、年金保険制度の将来。
インターネット知識と同様:実生活に重要。
消費者保護団体「被保険者の会」。
VI. 生命保険の種類
リスク生保の場合:掛け捨ての形、家族の生活費を用意。
若いうちに高い保障が必要、例えば1000万円・2000万円程度では不十分。40代・50代の場合には、年金請求・貯金など。
資本生保の場合:リスク生保 + 貯蓄。
掛け金が10倍ほど高いが、満期に被保険者に払い戻し。
問題点1:生活費を保障するために必要な金額でない。
問題点2:清算。消費者・株主・会社運営費。
I. 最近の動き
EUがマドリード商標議定書(Protocol relating to the Madrid Agreement concerning the international registration of marks adopted at Madrid on 27 June 1987)に加盟
規則1992/2003(10月27日)により、EU商標に関する規則40/94を改正(OJ L 296/1, 11月14日)。EUから提出する国際出願に関する方式など、外国から生じる出願の域内効果などについて、新たな規制を整備。
同時の閣僚理事会決定(OJ L 296/20)により、加盟を決定、委員会に、関連業務を委託。この条約により、国際登録出願の効果が国内と同様に生じる。
UEFA共同販売仕組みに関する独禁法例外
復習:第81条第1項、第3項。
委員会7月23日決定、官報L 291/25 (11月8日)。
事実関係:Champions Leagueについて、放送権はチーム毎ではなく、UEFA全体でしか購入できない。
第1項に対する侵害。
しかし、第3項による例外を認める。共同販売により、リーグ全体について品質の高い番組制作が可能、その利益は消費者にも還元される、など。
賭博業界にも自由化の新しい風が吹き始める
EC裁判所2003年11月6日判決、Gambelli, C-243/01。
イギリスの賭博業者のためにイタリア国内で斡旋(あっせん)業務を行ったため、Gambelli氏が刑事起訴された。弁護側は域内市場違反を主張。
復習(第10回参照):Schindler (1994), Läära, Zenatti(1999)判決により①詐欺対策②賭博依存症対策③加盟国収入確保の利益により、制限が正当化される。結果的には、賭博業界のみで域内市場が実施されない。
今回の判断:上記①②の観点により、依然として制限は正当化される可能性があるが、相当性の原則および差別の禁止が必要。本件では、イタリアが収益上昇の目的で、逆に国内賭博に関する広告活動をしたため、観点②による正当化は相当性の原則に反する。また、本件事実関係のもとでは、詐欺の可能性がほとんどないため、差別を排除する形で判断する場合、観点①による正当化も無理。観点③は、正当化の力がない、と明白に断言。
その結果、賭博業界についても、国境を越える競争が可能となる。
II.(第三章、業界別EU法)通信業界:扱う理由
通信とテレビの融合:CNNその他テレビ局のインターネット放送。放送から通信の傾向。
情報化社会の基礎、競争力の鍵(個人段階も)。
委員会のホームページ:europa.eu.int。
98年自由化。
III. 完全競争指令
96年3月13日、指令96/19。
委員会による立法(90年競争指令と同様)。
全ての独占権を廃止、対話電話サービスは98年1月から、その他すべて96年7月から。
実施期限9ヶ月、97年1月11日まで。
前文:通信網整備の課題が解決、例えば家庭の電話配置率がドイツでは90年80パーセント(旧東の遅れ)、94年まで89パーセントまで上昇。
スペイン・アイルランド・ギリシア・ポルトガルが5年間の経過期間を申請できる。
1999年11月までほとんど実施。
IV.暗号規制
Lenz「EU法およびドイツ法における暗号技術」青山法学論集40-1(98年),152参照。
デジタル署名、暗号利用の制限。
デジタル署名について:指令1999/93/EC、1999年12月13日。
第3条:事前許可不要。
第4条:域内市場、所在地での監督。
第5条:一定の条件を充たす電子署名に証拠能力。
第6条:関連サービス提供者の損害賠償責任。
利用制限:97年10月8日の委員会報告では鍵委託などに消極的な評価。主な理由:域内市場、強力暗号の入手が簡単、暗号政策の新たな弱点、費用、暗号技術の利用には逆に犯罪防止の効果も、市民や企業がインターネットを信頼できないなら情報化社会が遅れる、一方の当事者に打ち明けを要求することが可能。
現在のEU輸出制限規則1334/2000。
145ページのGeneral Cryptography Noteは一般消費者に販売されているソフトを対象外としているが、条件のdは、鍵の長さを64bitに限定した。しかし、2001年3月の規則458/2001により改正され、上記dのところの鍵に関する限定が削除された。
この改正は、EU単独の判断ではなく、Wassenaar協定の加盟国が2000年12月1日に決定した規制緩和を実施しただけである。
V.電子取引指令
指令2000/31/EC、2000年6月8日。
第3条:テレビ指令と同様、原則は情報源での監督。
広告規制、第6条以下:
第6条(a):広告であることが明白。
第7条:電子メールによる勝手広告(spam)について:受信の時点で広告であることが明白、opt-out。その後、指令2002/58(2002年7月12日、前回「最近の動き」で紹介)で規制が強化。Opt-outに関する保障と同時に、opt-inを原則に。
第8条:弁護士など規制を受ける職業でも、ホームページを開くことが倫理違反でない、自由。
第12条以下:接続業者の民事・刑事責任。単なる接続提供、一時保存(Cache)については、責任がない。会員情報提供(hosting)の場合、要請に応じて削除が充分、監視義務を否定。
I. 最近の動き
遺伝子組み換え食品の国境を越える移動に関する規則
1946/2003が11月5日の官報に掲載。内容:
① EUからGMOを輸出する際に、当該国家の当局に報告し、その報告資料を5年間保管する義務。
② 委員会がGMO許可について決定した場合、当該決定を国際情報共有機関(Biosafety Clearing-House, BCH)に報告する義務。
③ 輸出業者は輸出国家当局の当該GMOに関する決定を尊重する義務を負う。
II. EC条約第39条:「労働者派遣指令」
建設業界で社会問題、ドイツとポルトガルと時給で格差。
20万人EU労働者がドイツへ派遣、ドイツの会社、労働者が競争力ない。
域内市場と競争、失業対策の国内利益。
96年2月26日ドイツ「労働者派遣法」が成立、11月12日労働協約の一般拘束宣言、97年から17マルクの時給が最低基準、「郷に入っては郷に従え」。
その後、96年12月16日指令96/71、派遣の場合、派遣先の最低賃金基準を適用。
III。(第三章、業界別EU法)テレビ業界欧:州作品率
業界別にEU法を説明する理由:第1章が入門、第2章が全体の把握、第三章は実務での効力の把握が狙い。
EU法の実務では業界別の規制が多い。選定基準:個人的関心、最近の動き、重要な業界。
指令89/552第4条第1項
「テレビ局はニュース、スポーツ番組、ゲーム番組、広告、ビデオテキストおよび販売番組以外の放送時間の主要部分を、第6条で定義された欧州作品に割り当てるように、加盟国が適切な手段で実践的可能な範囲内に配慮する。テレビ局の情報、教育、文化、娯楽についての視聴者に対する責任を配慮して、主要部分が適切な基準で徐々達成されるべきである。」
目的:欧州製作者の保護、理由:アメリカと比べて構造的に不利。
その他の領域での保護主義:車、農業。
97年改正(97年6月30日、指令97/36)で販売番組も対象外。
法的拘束力?
「実践的可能な範囲内」。
「適切な手段」 第三条第2項「法規制のなかの適切な手段」。
「徐々に」達成される「べきである」。
前文を配慮する目的的解釈。
第4条第3項:加盟国の報告義務、委員会の監督。
IV.テレビ指令とドイツ憲法
ドイツが欧州作品率に反対、ドイツ連邦憲法裁判所 95年3月22日,EuGRZ 1995, 125。
ドイツが連邦国家、テレビについては連邦の管轄がない。
州の訴え:政府が指令に賛成した行為がドイツ憲法に違反、当該州では指令が妥当しない。
EU法と国内憲法の関係、憲法違反(管轄)によって指令をドイツ国内無効とする可能性(爆弾)。
BVerfGE 89, 155 (Maastricht):コントロールが可能、しかし協力関係、不可欠な基本権水準に限る。
本件訴訟が不適法。まだ連邦が州に指令実施を命じた事実がない。
V. 広告時間制限
指令89/552第11条第3項 「映画、テレビ映画のような視聴感覚作品の放送は、予定放送時間が45分以上の場合、満45分ごとに一度中断できる。シリーズ、続き物、気楽な娯楽番組、記録映画は対象とならない。予定放送時間が二つ以上の45分期間を最低20分に超える場合、さらに一度中断できる。」
指令89/552第11条第3項の目的:視聴者としての消費者を保護。
視聴者の利益:広告制限。
指令以前の実務:映画の最初に広告を少なく、最後に多数。
広告を見る興味、利益。
制限の解釈
「満45分毎」:広告時間を含むか。
映画のみの時間「実際時間主義」、広告も「全部主義」。
全部主義の方が制限として緩い、あるチャンネルの場合この解釈によって年間40億円以上の売り上げが動く。
委員会が「全部主義」の解釈、改正作業で議会の「実際時間主義」要求を拒否。
EC裁判所のARD判例(99年10月28日, C-6/98, curia.eu.intによる)も「全部主義」、但し、加盟国が「実際時間主義」を採用しても、指令侵害とならない。 理由:文言解釈では明白でない。目的的解釈:テレビ指令の目的は国境を超えるテレビ放送の自由の確保。従って、この自由を制限する規定を限定的に解釈、放送の自由を幅広く認める必要がある。
制限の評価
広告への注意が視聴者の給付、番組の値段。
値段は競争によって決めるべき、限度を付ける行為は独禁法違反となる。
国家が要求する競争制限。
制限の存在理由がない、広告が多いと思う視聴者はチャンネルを変えれば良い。
I. 最近の動き
遺伝子組み換え食品に関する規則1829/2003が10月18日の官報に掲載。内容:
① 販売には許可を必要とする。許可は、安全であることを前提とする。
② 販売する際、ラベルに遺伝子組み換えであることを表記する義務。
③ 別状の規則1830/2003により、当該商品の販路記録確認が可能であることが義務付けられた(traceability)。
II. EC条約第249条:国家賠償責任
EC裁判所91年11月19日、NJW 1992, 165(Francovich)。
国家賠償責任の理由:第249条の「加盟国を拘束する」の実効性。
要件:指令を期限内に実施しない、個人に権利を与える目的、権利の内容が具体的、因果関係。
訴訟法上では、国内国家賠償責任事件と同様、EU法に基づく賠償請求を差別的に困難することが許されない。
III.EC条約第39(旧48)条:通常事例
「(1)労働者の自由移動は、共同体内において確保される。
(2)この自由移動は、雇用、報酬その他の労働条件に関して、加盟国の労働者間の国籍に基づくすべての差別待遇を撤廃することを意味する。
(3)自由移動は、公の秩序、公共の安全および公衆衛生を理由として正当化される制限を留保して、次の権利を含む。
a) 実際に募集がある職場について応募する権利
b) このため、加盟国の領域内を自由に移動する権利
c) 国内労働者の雇用を規制する法令および行政規則に従って働くため加盟国内に滞在する権利
d) 加盟国の領域内で退職した後、委員会が定める実施規則に規定された条件でその加盟国に滞在し続ける権利。
(4)この条の規定は、行政機関における雇用については、適用しない。」
域内市場:人・品物・資本・サービス。
差別禁止および労働者の在留許可など。
資格:指令による認容。
医者:指令75/362(認容の原則)と75/363(資格要件)。
歯医者:指令78/686、78/687。
弁護士:指令98/5、98年2月16日、官報L77。
第1条第2項:定義、例えばドイツではRechtsanwalt、イギリスではAdvocate, Barrister, Solicitor。
第2条:自分の出身国の肩書きで全領域活動(出身国の言語で、第4条)。
第5条:第1項原則として全面的活動が自由(出身国の法、滞在国の法、国際法、EU法など無制限)、但し公証人については制限が可能、また、法廷へ出廷する場合には滞在国の弁護士と共同。
第10条:3年経験後、滞在国の弁護士資格。
年金・その他社会保険の調整。
IV.EC条約第39条: サッカー選手の移籍(Bosman)
EC裁判所95年12月15日、EuGRZ 1996,17。
事実関係 :原告のBosman選手がベルギーのチームからフランス2部のチームへ、移籍料が高いため、新チームとの契約が破棄に、損害賠償等を請求する訴訟が国内(ベルギー)に発生 、EC裁判所の意見を要請。
EC条約第39(当時48)条:就職の自由を保障。
スポーツの場合の適用。
就職の自由への侵害。
正当化理由:チームの力関係の均衡 、若い選手の養成。
外国人選手制限規則:
職業の自由への侵害。
正当化理由。
判決の時間的効力。
V.EC条約第39条:「労働者派遣指令」
建設業界で社会問題、ドイツとポルトガルと時給で格差。
20万人EU労働者がドイツへ派遣、ドイツの会社、労働者が競争力ない。
域内市場と競争、失業対策の国内利益。
96年2月26日ドイツ「労働者派遣法」が成立、11月12日労働協約の一般拘束宣言、97年から17マルクの時給が最低基準、「郷に入っては郷に従え」。
その後、96年12月16日指令96/71、派遣の場合、派遣先の最低賃金基準を適用。
I. 最近の動き
議会が航空旅客データを対米関係で要求
EUのデータ保護水準(一般データ保護指令95/46、通信におけるデータ保護指令2002/58から検討した場合、アメリカ政府がヨーロッパの航空会社に要求している顧客データの引渡しに応じるべきではない。アメリカのデータ保護水準が足りない。今後とも、政治的に最高レベルでアメリカとの協議を要請。
Nintendo Europeに対し1億4912.8万ユーロ科料処分
2003年10月8日官報L255に掲載、2002年10月30日決定。
メーカによる全領域で長期間の平行輸入妨害、捜査が開始されてもなお独禁法違反が続いた、違反の首魁、充分な威嚇効果を確保する目標などを配慮して、日本企業に対する処分としては新記録の高額になった。
II.日本企業関連独禁法実務
FETTCSA
2000年5月16日委員会決定、官報L268/1(2000年10月20日)。
Far East Trade Tariff Charges and Surcharges Agreement (FETTCSA)。
東洋諸国とヨーロッパの間の海上運送について、諸手数料について、公開されている金額から割り引きを認めない、との同意。海上運送そのものについては、EC条約第81条第1項からの例外が妥当するが、一部の手数料は、港での扱い、為替レート変動などを対象とするから、例外が妥当しない。
日本の運送会社としては、Kawasaki Kisen, Mitsui OSK Lines, Nippon Yusenが各62万Euroの科料処分を受けた。理由:短い期間(3ヶ月のみ実施)、委員会の捜査を受けて遅滞なく中止、値段自体に関する合意より、割引しないとの合意だけ、など。
この業界では以前
Mitsui OSK Lines等、94年12月21日決定、CELEX 394D0985 の決定があった。
Far Eastern Freight Conference、71年から海上運輸・陸上運輸について価額協定。
海上運輸については免除。
1万ECUの過料(微細処分)。理由:この業界で最初の決定。
将来にはこの協定を止める義務を確認する意味。
Asahi Glass 94年12月16日決定、CELEX 394D0896。
フランスのSaint-Gobain Vitrage社と共同企業設立。
フロントグラスなどについて研究が目的。
92年12月7日の契約を委員会に提出、消極的証明書を申請。
第81条の適用:当事者は企業、協定、競争制限(2005年まで競争しない約束)。
第3項による個別免除:消費者のために安全改良、研究規模から共同開発が必要、競争制限に期限を付けているから、必要な程度を超えない。
81条第1項が本来この契約を禁止、しかし第3項による免除。
International Private Satellite Partners (IPSP)
94年12月15日決定、CELEX 394D0895。
アメリカの会社、通信衛星を打ち上げ、通信サービスを提供。
Trans-Atlantic Satellite Inc.がIPSPに参加、Nissho Iwai Co.の子会社、IPSP参加のために設立された子会社。
第81条第1項: 企業間、協定、競争制限(成立しない)。
理由:当事者が独自に通信衛星を利用する通信サービス市場に参加できない、逆に今までの独占通信業者に競争相手が新たに生じるから、競争促進。
決定:消極証明書。
III. EC条約第30条(旧第36条)、Cassis de Dijon判例との関係
「第28条および第29条の規定は、公共道徳、公の秩序、公共の安全、人の健康および生命の保護、植物の保存、美術的、歴史的若しくは古学的価値のある国宝の保護または工業的および商業的所有権の保護の理由から正当化される輸入、輸出又は通過に関する禁止または制限を防げるものではない。但し、このような禁止又は制限は、加盟国間の貿易における専断的な差別の手段、又は貿易の隠れた制限となってはならない。」
Cassis de Dijonの復習: 輸出国主義、相互認容主義。
例外は必然性の理由を必要とする、例えば租税管理・健康保護・不正取り引き防止・消費者保護。
必然性のある理由:第30条の例外と部分的だけ重なる。
消費者保護の場合:直接差別(輸入品のみ)の場合には30条を適用、消費者保護が例外として挙げられていない。
隠された差別(全ての品物に妥当する規制の場合):Cassis de Dijonを適用、制限を消費者保護のために正当化できる。
Cassis de Dijonの場合:正当化の範囲がより広い。
30条の場合:隠れた差別に限らない。
IV.第30条、公共道徳の例
EC裁判所79年2月22日、CELEX 679J0034。
デンマークからイギリスへポルノを輸入。
イギリスの刑法に違反、刑事事件、被告人の主張:第28(旧30)条違反。
第28条違反が明白、問題は正当化の可能性。
公共道徳:加盟国の判断に任せれている、従って第30条の例外が成立。
直接差別も許されるから、全ての品物に対する規制がなおさら可能。
V.第30条、工業的および商業的所有権:並行輸入と消耗原理
特許権・商標権・著作権・意匠権が並行輸入の障壁:
英語では”first sale doctrine, exhaustion”。訳語は「消尽」「用尽」もあるが、権利が「消し尽くされる」わけではないため、「消耗」のほうが適切。
EUとECの関係、域内市場の目標。
域内市場が機能する場合、値段の格差はなくなる。競争原理が働く。
企業が知的財産権を利用することにより、域内市場の原理を妨害できない。
たとえば:日本の企業Aが著作権で保護された音楽CDをフランスの輸入業者Bに販売したところ、Bがフランス国内ではなく、ドイツの百貨店Cに当該商品を再販売した場合、Aが著作権に基づいてこの再販売を阻止できない。著作権の保護よりは、域内市場の理念が保護されている。
ある製品をEU域内で一旦市場に出す時点、その製品の域内再販売を知的財産権に基づいて阻止できない。したがって、知的財産権を武器に、加盟国ごとに別な値段戦略を採ることが困難。
権利がなくなるわけではない。例えば、上記の例では、市場に置かれた音楽CDを許可なく複製する行為が著作権侵害である。「編集・複製自由」(Open Source)ソフトと消耗原理の関係を考える際には重要な観点。
但し、EU域外で製品を市場に出しても、EU域内の知的財産権による保護が維持される。消耗原理の存在理由が域内の貿易自由であるため、第三国との貿易では、認める必要がない。
EC裁判所74年10月31日(Centrafarm)CELEX 674J0015。
第36条(当時、今第30条)は必要の限りのみ特許権を保護、域内市場の大原則の例外として限定的に解釈、最初の販売で充分、市場の配分を認めない、従って消耗原理。
EC裁判所98年7月16日判例 Silhouette。
C-355/96、curia.eu.intによる。
オーストリアのS社がメガネを製造。ブルガリアで販売された2万1千個をオーストリアに逆輸入。この場合には、域内の販売がないため、消耗原理を適用しない。
EC裁判所2001年11月20日(Zino Davidoff)、C-414/99 to C-416/99:商標所持者の同意がある場合、域外からの平行輸入も可能であるが、その同意は推定できない。
I. 最近の動き
自動車流通規則1400/2002年の経過期間修了
独禁法の一括例外を認める規則、1995年の指令を改正、条約第81条第3項を具体化。
2002年10月1日から施行されているが、2002年9月30日現在既存の契約については、2003年10月1日までの経過期間。最大の変更点:①販売業者を単独メーカの販売に拘束できない。販売業者が複数メーカの商品を扱う自由が保障された。
また、修理業者もメーカ以外の業者から部品を購入する自由が保障される。
2005年9月30日までの第2次経過期間が終了した後に、販売業者が他加盟国で支店を開店する自由も保障されるようになる。
規則の文言およびその他背景情報は、委員会の競争政策総局の自動車流通ページで: europa.eu.int/comm/competition/car_sector/
加盟国最高裁判決に対する損害賠償請求
EC裁判所2003年9月30日C-224/01、Köbler。
原告はオーストリアで大学教授として86年3月に就職。オーストリア法では、15年間勤続手当が予定されているが、原告は、他加盟国での勤続期間の参入を要求する訴えを96年にオーストリアの行政裁判所に提起した。行政事件における最高審である行政裁判院(Verwaltungsgerichtshof)の98年判決は、EC裁判所の判断を受けることなく、原告の訴えを棄却した。
原告は、2000年に民事裁判所でこの判決が違法に原告の権利を侵害するものと主張し、国家賠償責任法に基づく損害賠償請求の訴えを提起した。
Brasserie du Pecheur判例(第6回参照)と似ている問題。
EC裁判所は、FrancovichおよびBrasserie判例を引用し、国内最高裁判所の判断については、立法者の判断と同様、明らかにEU法違反である場合、損害賠償請求が可能、と判断した。理由:①234条第3項の実効性。②既判力からは問題ない:違法判決それ自体が無効となる訳ではない。③どの裁判所が当該損害賠償事件を扱うかが不明との問題点:理由にならない。加盟国は差別なく当該請求を可能としなければならない。④確定判決による欧州人権条約違反がある場合でも、被害者に対する保障が要求される。
但し、本件では明白な違反がない(今まで、当該問題がEC裁判所で判断されたことがないため、国内裁判所の意見にもある程度の理由がある、と述べている)。
II.EC条約第234条:効力問題と解釈問題
「EC裁判所は、次の事項について中間判決を行う。
(a)この条約の解釈
(b)共同体の機関および欧州中央銀行の行為の効力および解釈
(c)閣僚理事会が設置した機関の規約にこの旨の定めがある場合に、当該規約の解釈。
このような問題が加盟国の裁判所に提起され、当該裁判所が判決のためにこの問題についての決定を必要と思う場合には、この問題についてEC裁判所に決定を求めることができる。
このような問題が加盟国の裁判所に審議され、当該裁判所の決定が上告・控訴で争うことができない場合、当該事件をEC裁判所に付託しなければならない。」
「機関の行為」:指令・規則・決定。
解釈:EC条約・二次法。
「国内法が無効となるように、EC法を解釈すべきか」:Simmenthal、NJW 1978, 1771。
国内法が無効となるように解釈した場合、国内立法・憲法裁判所判決が不要。
国内裁判官がそのまま当該国内法を適用しない。
第177条(当時、いま第234条)の実効性が理由。
効力問題:EC裁判所だけが無効とする権限。
第一審でも付託義務。
加盟国国内憲法に違反する二次法の場合:
EC裁判所、Costa、NJW 1964, 2371:EC法が全面的優先。
Solange (の間に)I,BVerfGE 37,271。
Solange (の間に)II,BVerfGE 73,339。
Maastricht,NJW 1993, 3047。
原則としてコントロールは可能が、①EC裁判所との「協力関係」 、②不可欠な基本権水準に限る、との制限がある。
理由:①EC法の実効性、②EC法の妥当根拠、③EC裁判所が最高裁判所でない、である。しかし、今までの実務ではドイツ裁判所による二次法が憲法違反として無効とされた例がない。
EC条約第234条:無効の遡及(そきゅう)性
EC裁判所94年4月26日(Roquette Freres),EuZW1994,570。
原告はドイツに公課を支払い。
原因の規則が無効と裁判所が判断。
但し、遡及性がないと限定、法的安定性。
例外:規則の無効を言い渡した訴訟の原告、第177条(当時)の実効性。
III.EC条約第81(旧85)条:通常事例
「(1)加盟国の貿易に影響を及ぼすおそれがあり、かつ、共同市場の競争の妨害、制限または歪曲を目的とするか又は結果として起こす企業間のすべての協定、企業団体が行うすべての決定及びすべての共同行為、特に次のものを含むこれらの協定、決定及び共同行為は、共同市場と両立せず、かつ、禁止される。
(a) 購入価額、販売価額その他の取り引き条件の直接又は間接の設定
(b) 生産、販路、技術開発又は投資の制限又は統制
(c) 市場又は供給源の配分
(d) 取り引きの相手方に対し、同等の給付に関して異なる条件を適用し、その結果、競争相手方に不利益となるもの
(e) その給付の性質上又は商慣習から契約の対象と関連をもたない追加の給付を行うことを相手方が受諾することを契約締結の条件とするもの。
(2) この条の規定に基づき禁止される協定又は決定は、無効とする。
(3) もっとも、第1項の規定は、次のいずれかの場合には、それを適用しない旨を宣言することができる。
企業間の協定又は協定のグループ 、企業団体が行う決定又は決定のグループ 、共同行為又は共同行為のグループ 、であって、品物の生産若しくは配分の改善又は技術的若しくは経済的進歩の促進に寄与するとともに、その結果生ずる利益に利用者が公正に均てんすることを確保するもの。
但し次のものを除く
(a) 前記の目的を達成するために不可欠でない制限を関係企業に課するもの
(b) これらの企業に対し、当該品物の主要な部分について競 争を排除する可能性を与えるもの。」
通常事例1:価額協定 、談合。
「加盟国の貿易に影響を及ぼす」:二つ以上の加盟国が関連、微細でない。
微細事件(de minimis):2001年12月22日の方針(官報 C 368/13):微細案件についての方針。SME(小中企業)の取引はほとんど対象外(従業員数250名以下、売り上げ4000万Euro以下)。競争相手間の取引はシェア10パーセント以下、その他はシェア15パーセント以下が対象外。但し、競争相手との①値段に関する談合②製造・販売の限定③市場の分配を行う特に重い独禁法違反は別。また、競争相手でない業者と①再販売値段を固定する②再販売地域を限定するなど、特に重大な独禁法違反は別。
通常事例2:並行輸入妨害。
法的効果:無効(第2項)、過料、売り上げの10パーセントまで(前期の講義を参照)。
第三項:例外、個別適用免除、一括適用免除。
例えば規則1400/2002(自動車流通)、規則240/96(技術移転契約、国際商事法務24・4)。
I. 最近の動き
EU拡大
EU拡大条約が9月23日の官報に掲載された。
現在15カ国が10カ国増の25カ国になる。主に中央ヨーロッパ(ポーランド、チェコなど)が新規加盟。
新加盟国がEUを積極的に評価。長い過程を経て、拡大が2004年5月1日に発効する予定。
詳しくは、この委員会のページを参照。
コンピュータソフト指令案に関する議会投票
FFIIの報告によると、EU議会がコンピュータソフトの特許性に関する指令案について、実効的な制限を確保する改正案を承認した。FFIIは、議会での討論もここで公開している。この討論を見る限り、多くの議員がソフト特許に対する批判を受け入れた。商売方法に関する特許性は完全に論外との雰囲気であり、その他の多くの制限の必要性を強調する発言が多い。
いい知らせではあるが、まだ、現時点で最終的な結論は分からない。しかし、ソフト特許の合法化を要請した側に「揺れている車に乗ることになる」との予測が、既に実現した、とは言える。
問題の所在:例えばAmazon.comの1click、open source。
欧州特許条約第52条。
欧州特許条約とEUの関係。
日米での扱い、欧州特許条約での扱い。
ソフト特許を認める理由:平等問題の理由、日米との関係。
問題点:間接的には金融業界、その他すべての分野に特許制度を拡大、相互妨害、著作権保護との関係。
II.EC条約第28条、Cassis de Dijon 判例
「輸入についての数量制限およびこれと同等効果のすべての措置は加盟国の間で禁止される。」
EC裁判所1979年2月20日。
事実関係:ドイツのREWE社がフランスからリキュール(甘い味のアルコール飲料)「Cassis de Dijon」輸入を計画。必要な許可が拒否。理由:アルコール分が20パーセント以下、ドイツ国内法は「リキュール」について最低25パーセントを要求。フランスでは、「Cassis de Dijon」が合法的に販売。
加盟国のリキュール法制が統一されない場合:品物流通の妨害。
必然性がある場合のみ許される:
租税管理・健康の保護・不正取引防止・消費者保護。
消費者保護:表示義務で充分。
隠された差別 (輸入品と国内品について平等に妥当する規制)の場合、輸入国家主義・輸出国家主義。
統一法制・調和の必要性。
食料品のラベルに関する指令79/112(1978年12月18日、指令2000/13により、諸改正を総括):
第2条:誤解を招くラベルの禁止。
第3条:必要な情報: 材料 、賞味期限 、アルコール分。
「自然食良品」ラベルに関する規則2092/91も参照。
III.Keck 判例
EC裁判所93年11月24日、NJW 1994, 121。
事実関係:フランスの業者Keckが品物を仕入れ価額以下の価額で販売。
フランス国内法違反、刑事事件。
「輸入品の販売促進が妨害される」と、第30条(当時)違反の主張で弁護。
結論:第28条(当時第30条)違反がない。
要件:国内法が販売方法を規制する、国内販売業者全員に妥当、輸入品・国内品に平等に妥当。
判例変更? Yves Rocher判例(第9回)との関係:明白でない、制限的解釈への傾向 。
IV.EC条約第234条(旧第177条):通常事例
「EC裁判所は、次の事項について中間判決を行う。
(a)この条約の解釈
(b)共同体の機関および欧州中央銀行の行為の効力および解釈
(c)閣僚理事会が設置した機関の規約にこの旨の定めがある場合に、当該規約の解釈。
このような問題が加盟国の裁判所に提起され、当該裁判所が判決のためにこの問題についての決定を必要と思う場合には、この問題についてEC裁判所に決定を求めることができる。
このような問題が加盟国の裁判所に審議され、当該裁判所の決定が上告・控訴で争うことができない場合、当該事件をEC裁判所に付託しなければならない。」
EC裁判所が扱う訴訟のなかで一番重要。
EC条約の一番多くに引用される条文。
ドイツの地方裁判所がEC裁判所に解釈を要求。
EC裁判所と国内裁判所の対話。
その他:条約侵害の訴え、委員会の場合EC条約第226(旧169)条、他加盟国の場合227(旧170)条、取り消しの訴え、第230(旧173)条。
V. EC条約第234条:先決手続きの特徴
上告裁判所との比較。
民事訴訟: LG(地方裁判所)- OLG(高等地方裁判所)- BGH(連邦通常裁判所)。
第一審、第二審、第三審:決定を求めることができる。
第三審:付託しなければならない。
上告との相違点 :
①当事者の判断ではなく、(国内)裁判所の判断、②EC裁判所の判決が最終的でない、③EC裁判所は国内法の解釈について管轄を有しない(そのため、「国内法規がEC法違反のために無効」という質問 は間違いであり、正しい質問:「国内法が無効となるように、EC法を解釈すべきか」)、④EC裁判所が付託する裁判所より地位が高いとは言えない。
WTOでアメリカの不当廉売(dumping)に関する1916年立法が違法と宣言されて3周年。アメリカが、WTOの判断を無視して、問題を放置し続けたため、EUが制裁を検討することに。
また、規則を制定し、WTO違反であるアメリカ法に基づくアメリカの判決などをEU内では執行できないこと、アメリカでの訴訟の被害を受けた被告が原告に対し、EU内で逆に訴訟によって生じた損害の賠償を請求できる、との規制を検討している、と委員会が発表した。
EU拡大条約が9月23日の官報に掲載された。
現在15カ国が10カ国増の25カ国になる。主に中央ヨーロッパ(ポーランド、チェコなど)が新規加盟。
新加盟国がEUを積極的に評価。長い過程を経て、拡大が2004年5月1日に発効する予定。
詳しくは、この委員会のページを参照。
I. 最近の動き
Nippon Soda(日本曹達)に900万Euro過料処分
2002年7月2日処分。
鶏・豚の飼料添加物メチオニン(年間2.6億Euro市場)に独Degussa、仏Aventisと、86年から99年まで談合行為。
Aventisが一番最初に密告したため、過料ゼロ。密告がなければ、Degussa並みの過料(1.18億Euro)。日本曹達も手書きメモ提出して協力したため、5割減額。そもそもDegussaのシェアが日本曹達の5倍。
日EU独禁法協力協定
2003年7月10日の代表部発表。
米国、カナダとの関係で既に同様の協定を実施。
EU委員会の1999年の提案に基づいて、2003年に成立。
EU委員会と日本の公正取引委員会の協力:情報交換(EU委員会が日本企業に対する独禁法違反手続き、合併許可手続きについて報告、公取委が逆にEU企業に関する手続きについてEU委員会に報告)。場合によっては、相手に手続きを開始するように要請できる。政策に関する議論および独禁法実施における優先課題について、年に一度以上に協議を行う。施行は30日後。
イラクに関する共同立場(Common Position)
第2柱(共同外交・安全政策)における閣僚理事会7月7日決定、官報L169/72.
第1条:国連決議1483(2003年5月23日)に従って、兵器以外は貿易禁止政策を解除。
第2条:元イラク政府、政府関係者のEU内の財産を凍結。
第3条:戦争中の略奪された芸術品などは、EU内の取引を禁止するなどを手段に、元に戻るように規制。
第4条、第5条:イラク石油に対する対価は、イラクの正当な政府が成立するまで、イラク発展基金(Irak Development Fund)に寄託。石油は、訴訟などにより強制執行の対象外。
詳細は同日の閣僚理事会規則1210/2003、官報L169/6。
II.EC条約第28条、通常事例
「輸入についての数量制限およびこれと同等効果のすべての措置は加盟国の間で禁止される。」
99年5月1日まで第30条。
「数量制限」: 日本・EU関係で自動車輸入台数に制限。
91年の合意:99年まで毎年数量制限。
品物流通の自由・域内市場。
「同等の効果の措置」。
1983年、フランスのPoitiers市、ビデオ輸入、担当者5名だけ。
1958現在の措置について:指令70/50(1969年12月22日)、第2条第3項の定義。
a) 輸入品物のみについて最低価額、最高価額。
g) 輸入国に代表・責任者が滞在することを輸入の条件。
j) 輸入品物のみについて、形・寸法・重量・成分などについて条件。
k) 輸入品物の購入を妨害する措置、国産品物の購入を奨励する措置。
m) 輸入品物のみについて広告を制限する措置。
第3条:隠された差別:
輸入品物・国産品物について平等の制限の場合、必然的な輸入制限効果を超える。
特に:目的と措置の関係が相当でない、妨害効果がより少ない他の措置がある場合。
III.EC条約第28条: Dassonville判例
「輸入についての数量制限およびこれと同等効果のすべての措置は加盟国の間で禁止される。」
EC裁判所1974年6月11日、NJW 1975, 515。
事実関係:Dassonville社がベルギーにフランスからウィスキーを輸入。ベルギーの国内法が「真正証明書」を要求。直接スコットランドから輸入する場合、「真正証明書」の入手が簡単。フランスからの場合では困難。無証明書輸入で刑事訴追。
「同等の効果の措置」とは、直接的又は間接的に、実際または可能性として、共同体内の貿易を妨害するような加盟国の貿易に関するすべての規制である。
IV. Cassis de Dijon 判例
EC裁判所1979年2月20日。
事実関係:ドイツのREWE社がフランスからリキュール(甘い味のアルコール飲料)「Cassis de Dijon」輸入を計画。必要な許可が拒否。理由:アルコール分が20パーセント以下、ドイツ国内法は「リキュール」について最低25パーセントを要求。フランスでは、「Cassis de Dijon」が合法的に販売。
加盟国のリキュール法制が統一されない場合:品物流通の妨害。
必然性がある場合のみ許される:
租税管理・健康の保護・不正取引防止・消費者保護。
消費者保護:表示義務で充分。
隠された差別 (輸入品と国内品について平等に妥当する規制)の場合、輸入国家主義・輸出国家主義。
統一法制・調和の必要性。
食料品のラベルに関する指令79/112(1978年12月18日、指令2000/13により、諸改正を総括):
第2条:誤解を招くラベルの禁止。
第3条:必要な情報: 材料 、賞味期限 、アルコール分。
「自然食良品」ラベルに関する規則2092/91も参照。
V.Keck 判例
EC裁判所93年11月24日、NJW 1994, 121。
事実関係:フランスの業者Keckが品物を仕入れ価額以下の価額で販売。
フランス国内法違反、刑事事件。
「輸入品の販売促進が妨害される」と、第30条(当時)違反の主張で弁護。
結論:第28条(当時第30条)違反がない。
要件:国内法が販売方法を規制する、国内販売業者全員に妥当、輸入品・国内品に平等に妥当。
判例変更? Yves Rocher判例(第9回)との関係:明白でない、制限的解釈への傾向 。
I. 最近の動き
議長国交代
7月1日からは、閣僚理事会の議長国がイタリアに。イタリア首相がEUを代表する形になるが、早速、議会で失言し、最悪のスタート。
遺伝子組み換え食料品
7月2日、議会がラベルに表示する義務を規定する指令案を承認。
II.制裁を加える義務
EC裁判所1989年9月21日(ギリシアのトウモロコシ醜聞)、NJW 1990, 2245。
ユーゴのトウモロコシをギリシアに輸入、関税を脱税。
ギリシアの当局が犯人を追及しない、関税を追徴しない。
制裁を加える義務:国内法違反と同様に、その後EC条約第209a条に規定。
実効的・相当・威嚇的な制裁が必要。
Colson判例との関係:充分な制裁を要求。
Francovich判例との関係 :国内法益の保護と訴訟法上の差別禁止。
III. 独禁法における過料実務
事例(日本関係)
Pioneer
委員会79年12月14日決定、官報 L 60 (1980), 21。
高額過料新政策。
欧州法人に対し435万Euro。
フランスで値段が高いため、並行輸入を妨害。
高額処分の理由:利益剥奪、威嚇。
Panasonic
委員会82年12月7日決定、官報 L354(1982), 28。
National Panasonic United Kingdom 45万Euro。
イギリスでの値段が安いため、大陸への並行輸入を妨害。
処分が厳しくない: Matsushita Electric Trading (日本本社)が委員会と協力。
96年7月18日の委員会の発表(官報C207、第4頁):自首の場合、協力の場合には過料を減額にするか、過料処分を下さない。
Konica
委員会87年12月18日決定、官報 L78(1988), 34。
Konica UK, Konica Europe合計15万Euro、小額。
ドイツでフィルムの値段が高いため、並行輸入妨害。
小額処分の理由:ドイツでの市場占有率(シェア)が低い、違反期間が5ヶ月で短い。
Siemens/FANUC
委員会85年12月18日決定、官報L 376(1985), 29。
Siemens,FANUC各100万Euro。
FANUCの有力商品についてSiemensの専売権。
仕入値段の2.63倍で販売。
アジアでの販売値段より35パーセント高い。
高額処分の理由:8年間以上の違反期間、機械製造業界への影響。
ビタミン剤
委員会2001年11月21日発表:ビタミン市場における長期談合。
Hoffmann-LaRoche(スイス)4.62億Euro(談合の提案者、最大シェアなどを配慮)。
BASF(ドイツ)2.96億Euro。
日本企業:Daiichi Pharmaceutical 2340万Euro、Eisai 1323万Euro、Takeda Pharmaceutical 3705万Euro。
ビタミンCだけで、談合稼動中の1995年の売上(2.5億Euro)から1998まで半分以下(1.2億Euro)に激減。談合による違法利益の幅が億Euro単位であったことが明らか。また、人間の健康を保つに必要な商品が対象であることは許せない。
1999年、既にアメリカでHoffmann-Larocheに対し5億ドル、BASFに対し2.25億ドル、Takedaに対し7200万ドルの過料処分(アメリカ市場における同談合の効果に関するもの)。
IV.独禁法における過料実務(続)
手続き
委員会の管轄、およそ1万5千人の公務員 、30以上の総局 、その内の競争総局が担当。
業界などによって執行部(4) 、補助金についての執行部(2) 、競争政策協力の執行部 (2)。
法務部が賛成しない案について:委員会全体の決定。
諮問委員会(加盟国の競争庁から代表。
聴聞(ちょうもん)責任者:法律上の聴聞。
手続きの開始 :消極証明書の申請(4割弱) 、競争企業、その他関係者の告発・苦情(5割) 、職権で(1割強。
企業に苦情項目を通知。
聴聞手続き。過料処分の場合、口頭による。
決定案、加盟国競争庁に配布。
諮問委員会で議論、法務部が検討。
委員の決定。
過料処分に対する訴え:第一審裁判所、上告審:EC裁判所。
過料の限度
規則17/62の第15条第2項(2004年4月末まで適用、その後は新規則第1/2003の23条第2項):売り上げの10パーセント。
例えばPanasonicの場合:1980年の売り上げ135億ドル、限度額:13億5000万億ドル。
委員会の方針①:協力の評価
96年7月18日の方針(官報 C207/4):委員会と協力する場合(他のカルテル参加者の密告を含めて)過料を大幅(最高75%)減額か、ゼロか。
最初にカルテルについての秘密情報を打ち明けた場合は最も減額効果が大きい。
2002年2月19日の方針(官報 C 45/3)で具体化:過料ゼロは、一番最初に証拠を提示して企業(8)、但し、委員会には、その時点に十分な証拠がないことが条件(9、10)。その場合、当該企業は①全面的に協力する②当該独禁法違反の加入を終了する③他企業に参加するように圧力をかけたことがない、が更に条件。過料減額は、最高50パーセントとなる。条件:委員会に有意義な証拠を提出(21)。一番最初に提出した企業は30から50パーセント、二番目は20パーセントから30パーセント、その後は、最高20パーセントまで。
委員会の方針②:過料の金額
98年1月14日の方針(官報 C9):軽い違反が1000ECUから100万ECU、重い違反が100万ECUから2000万ECU、非常に重い違反が2000万ECU以上。5年までの期間なら50%増額、5年以上の期間なら一年当たり10%までの増額。更に責任が重くなる事情:同一企業による違反の繰り返し、委員会の捜査に対する妨害、違反の指導者または提案者、違法態度を強要するために他の企業に制裁、違反から生じた利益を推定できない場合、利益を超えるための増額。逆に軽減自由:違法態度で消極的な役割、違法合意を実際に実施していない、委員会が捜査を開始したら即時に違反を止める、問題の態度が違法かについての疑問、過失による違反、企業からの協力。
委員会の方針③:微細事件(de minimis)
2001年12月22日の方針(官報 C 368/13):微細案件についての方針。SME(小中企業)の取引はほとんど対象外(従業員数250名以下、売り上げ4000万Euro以下)。競争相手間の取引はシェア10パーセント以下、その他はシェア15パーセント以下が対象外。但し、競争相手との①値段に関する談合②製造・販売の限定③市場の分配を行う特に重い独禁法違反は別。また、競争相手でない業者と①再販売値段を固定する②再販売地域を限定するなど、特に重大な独禁法は別。
高額処分(日本関係ではない)
Tetra-Pak
委員会91年7月24日決定、官報 L 71(1992), 1
7500万ECU、個別企業に対し95年12月現在まで最高
1990年の売り上げの2パーセント。
市場を支配する地位の濫用(EC条約第82条、当時第86条)。
並行輸入を妨害、各加盟国ごとに市場を分配、消費者に損害など。
高額処分の理由:長期違反(15年間)、故意、すべての商品・加盟国に影響、審査中に非協力的。
セメント業界40以上の企業・業界連
委員会94年11月30日決定。
総額2.47億ECU、個別企業最高額Italcementiに3349万ECU。
加盟国ごとに市場を分配。
Volkswagen
98年1月28日委員会決定。europa.eu.int/en/comm/dg04/entente/closed/en/audi.pdf
個別企業に対し、史上最高額(1億200万ECU。
並行輸入妨害について禁止が多くの委員会決定により明白、長期間、故意、域内市場妨害、車業界で最大シェア。
ビタミン剤(上記参照)
I. 最近の動き
利子収入報告指令
6月3日の閣僚理事会指令、官報L157/38(6月26日)。
域内市場における資本の移動、脱税対策の影響。
特に、ルクセンブルク、ベルギー、オーストリアが銀行の秘密を重視、スイス・アメリカが同様の義務を導入しない限り、報告義務を承認しない。
今回の妥協:上記の加盟国を除く12加盟国の間には即時に、自動的な報告義務。全領域に拡大することは、スイス・アメリカなどの同様の報告義務採用を前提としている。報告をしない経過期間中には、源泉徴収、税収の75パーセントを他加盟国に支払う義務。
但し、加盟国には実施立法の義務が他の指令と同様にあるが、実施立法を施行する2005年1月からの義務は、スイス等が同様な規制を採用することを前提とする。当該条件が満たされているかについては、閣僚理事会で全員一致の決議が必要。
II.インターネット規制
① 不良情報対策についての委員会報告書、96年10月
http://europa.eu.int/ISPO/legal/en/internet/communic.html
「Illegal and harmful content on the internet」
What is illegal offline remains illegal online、加盟国の責任
違法な情報・不良情報の区別、例:児童ポルノ、ユダヤ人殺戮否定
対策:第三柱協力(情報交換、最低基準確保)、自主規制推進、PICSなどの評価技術を推進。
② EU議会および閣僚理事会の決定276/1999、1999年1月25日、官報L33/1:活動計画、2500万Euroを99年から2002まで。EU段階の苦情窓口連絡網を整備、接続業者の自主規制を援助、評価技術の開発、問題意識強化のための啓蒙活動など。
2003年から2005年までの延長も決定済み(第8回参照)。
③ 電子取引指令(2000年6月8日、300L0031)
第12条以下、接続業者の責任などについて:単なる転送では民事・刑事責任が生じない(一次保存、いわゆるCacheを含む)。他人の情報を提供する場合(hosting)でも、故意がない限り責任がない。接続業者には通信および保存している情報の内容を監視する義務がない。
III.EUの財産利益の保護
1992年:ドイツで「ヨーロッパ刑法学会」が設立された。
詐欺等の被害額が予算の10パーセントとの推定。
1997年:農業補助金について3.17億Euro(補助金の0.8パーセント),収入について10億Euro(関税の6.5パーセント)の詐欺事件が明らかになった。
輸入(関税脱税)の場合:量を低く、品質を低く申請、関税を脱税、輸出の場合(補助金詐欺):量を多く、品質を良く申請、補助金を不正に受領。
脱法行為:固体ミルクの場合。
ポーランドから北アフリカに牛を輸出。
ドイツ刑法の場合:第264条、補助金詐欺 、第6項:EUの補助金も対象 、第6条第8号:ドイツ法を外国人の外国での行為に適用 、租税法第370条:脱税罪 、EUの関税がドイツの租税と同様に保護。
ドイツ法の問題点:輸入と輸出の場合で別な構成要件 、例えば自首で差違点。
1987年以来:UCLAF(unite pour la coordination de la lutte antifraude)。
1999年6月から:OLAF(European Anti-Fraud Office)。
IV.制裁を加える義務
EC裁判所1989年9月21日(ギリシアのトウモロコシ醜聞)、NJW 1990, 2245。
ユーゴのトウモロコシをギリシアに輸入、関税を脱税。
ギリシアの当局が犯人を追及しない、関税を追徴しない。
制裁を加える義務:国内法違反と同様に、その後EC条約第209a条に規定。
実効的・相当・威嚇的な制裁が必要。
Colson判例との関係:充分な制裁を要求。
Francovich判例との関係 :国内法益の保護と訴訟法上の差別禁止。
V. 独禁法における過料実務
事例(日本関係)
Pioneer
委員会79年12月14日決定、官報 L 60 (1980), 21。
高額過料新政策。
欧州法人に対し435万Euro。
フランスで値段が高いため、並行輸入を妨害。
高額処分の理由:利益剥奪、威嚇。
Panasonic
委員会82年12月7日決定、官報 L354(1982), 28。
National Panasonic United Kingdom 45万Euro。
イギリスでの値段が安いため、大陸への並行輸入を妨害。
処分が厳しくない: Matsushita Electric Trading (日本本社)が委員会と協力。
96年7月18日の委員会の発表(官報C207、第4頁):自首の場合、協力の場合には過料を減額にするか、過料処分を下さない。
Konica
委員会87年12月18日決定、官報 L78(1988), 34。
Konica UK, Konica Europe合計15万Euro、小額。
ドイツでフィルムの値段が高いため、並行輸入妨害。
小額処分の理由:ドイツでの市場占有率(シェア)が低い、違反期間が5ヶ月で短い。
Siemens/FANUC
委員会85年12月18日決定、官報L 376(1985), 29。
Siemens,FANUC各100万Euro。
FANUCの有力商品についてSiemensの専売権。
仕入値段の2.63倍で販売。
アジアでの販売値段より35パーセント高い。
高額処分の理由:8年間以上の違反期間、機械製造業界への影響。
ビタミン剤
委員会2001年11月21日発表:ビタミン市場における長期談合。
Hoffmann-LaRoche(スイス)4.62億Euro(談合の提案者、最大シェアなどを配慮)。
BASF(ドイツ)2.96億Euro。
日本企業:Daiichi Pharmaceutical 2340万Euro、Eisai 1323万Euro、Takeda Pharmaceutical 3705万Euro。
ビタミンCだけで、談合稼動中の1995年の売上(2.5億Euro)から1998まで半分以下(1.2億Euro)に激減。談合による違法利益の幅が億Euro単位であったことが明らか。また、人間の健康を保つに必要な商品が対象であることは許せない。
1999年、既にアメリカでHoffmann-Larocheに対し5億ドル、BASFに対し2.25億ドル、Takedaに対し7200万ドルの過料処分(アメリカ市場における同談合の効果に関するもの)。
I. 最近の動き
Thessaloniki首相閣僚理事会
6月19日・20日。39ページの決議(Presidency Conclusions)から:
5:EU憲法の案は、政府間会議における議論のための「良い出発点」として積極的に評価するが、現時点では承認しない。今後、新加盟国の代表も全面的に議論に参加させる形で、改めて首相のレベルで議論する。
24から27:庇護権に関する指令の採択を2003年末までに要請。
69:対米関係では、「同等の地位」(equal footing)を前提にしていることを改めて強調。
75:国際刑事裁判所を「強く支持」(strongly supports)。
対米関係における旅客データの保護
データ保護専門家委員会、6月13日決議。
問題:年間1000万人以上のアメリカ旅客のデータを、アメリカに引き渡すことができるか。1995年データ保護指令95/46の対外適用の問題。
今回の決議では、現段階ではまだデータ引渡しを許可する委員会の決定ができない。多くの問題が未解決、と指摘した。
タバコ広告指令
5月26日指令2003/33、官報L152/16(6月20日)。
理由:タバコは、依存症を起こす製品で、EU全体で年間50万人の死因である(tabacco, an addictive product responsible for over half a million deaths in the Community annually)。指令98/43は、EC裁判所の判決により無効と宣言されたため、指令98/43を引用する場合、本指令を引用しているように理解すべきである。
内容:新聞、ラジオ、インターネット上の情報発信、主催について、タバコ広告を禁止。2005年7月31日まで実施期限。
II.不正競争防止法:広告制限
EC裁判所93年5月18日、NJW 1993, 3187 (Yves Rocher)
事実関係:フランスのYves Rocher社が広告で「5割値下げ」を目立つ形で強調。
ドイツの消費者保護団体がドイツ不正競争防止法に基づいて停止を請求。連邦通常裁判所がEC裁判所の解釈を要請と決定。
1986年導入の不正競争防止法第6e条:目立つ形の値段比較を禁止。
品物移動の自由の制限:広告制限も。
消費者保護のために必要か:EC裁判所の結論が消極的。
真正か否かではなく、目立つ強調を禁止する理由がない。
値段についての情報が消費者に有意義。
III.刑法:妊娠中絶
EC裁判所91年10月4日、EuzW 1993,35 (Grogan)。
事実関係: アイルランドでは、妊娠中絶が禁止であるが、イギリスでは比較的自由。そのため、アイルランドの女性が「中絶観光」に。そのために情報が必要(病院の電話番号など)。被告のGrogan等(学生)がその情報を公開。
SPUC(Society for the protection of unborn children)が差止めを請求。国内裁判所がEC裁判所の解釈を要請。
サービスの自由(EC条約第49条)がGroganの活動を保護?
中絶が医療行為としてサービス。違法なサービスではない。
広告活動も保護。
しかし:Groganが第三者。
IV. 刑法:宝籤(くじ)
EC裁判所94年3月24日、EuZW 1994,311 (Schindler)。Lenz 「宝クジと懸賞ゲームについてのEU規制」青山法学論集40/3-4参照。
事実関係:Schindlerはドイツ国営宝籤の販売業者。イギリスに広告ビラを輸入。しかし、税関で輸入禁止処分。
イギリスの「外国宝籤禁止」がサービスの自由(EC条約第49条、元弟59条)を侵害するか。
サービスであるか。
麻薬販売のサービスと違って全領域で違法とは言えない。
Grogan(妊娠中絶)と同様にサービスの自由の対象。
今回は第三者ではない。
サービスの自由を制限できるか(積極的)。
理由:詐欺のおそれ・倫理的な理由・国の財政。
99年9月21日のLäära判決。フィンランドでは、スロット機に関して独占。イギリスのCMS社がTAS社(Läära氏が社長)にスロット機を提供、運用を委託。Läära氏に対し罰金刑・スロット機の没収。上記公益保護のため、「消費者保護」のため、フィンランドの規制が正当化される。
99年10月21日Zenatti判決。イタリアでイギリスの「Overseas Betting」のため取次ぎ。イタリアの客がOverseas馬券を購入、インターネットを通して取引。上記保護利益のために規制が本当に必要か、それとも、単なる建前で、実は国内業者のために市場を確保するだけが目的か。判断は国内裁判所が行う。
I. 最近の動き
第1会社法指令改正が成立
6月11日委員会発表:
委員会の提案が2002年、閣僚理事会・議会で問題なく承認。
内容:将来的には、紙媒体と並んで、会社が必要な情報を電子媒体で提供できる(2007年1月まで実施)。利用者も電子媒体で検索・利用できる。原則は従来通り、当該加盟国の言語での情報提供であるが、会社は任意的に他言語にも情報を翻訳し、幅広い広報を狙うことが可能となる。手紙・請求書における必要情報は、WWWにも必要。2012年には、評価報告。
ペットの旅券
指令998/2003、5月26日、官報L146/1(6月13日)。
ペットを刺青・電子身元確認機を特定、旅券で獣医による狂犬病注射を証明できる限り、全領域で自由に移動できる。
II.会社法
一覧表
委員会
今後の活動計画(2003年5月21日委員会発表)
第一会社法指令68/151(68年3月9日):会社に関する情報公開
第1条(対象): 株式会社、有限会社
第2条(商業登記簿):一定の事情を公開、例:代理機関 、決算
第4条:請求書・手紙等に登記簿番号等の情報を公開
EC裁判所97年12月4(Daihatsu)、EuZW 98,45
ドイツDaihatsu有限会社が決算を1989年から公表しない、ドイツDaihatsu販売業者連盟が制裁を申請(1万マルクの強制金)。ドイツ商法第335条によると、会社の社員、債権者、労使協議会のみが申請できる。
EC裁判所:ドイツが指令を充分に実施していない。決算公表義務は関係者に対するものに制限すべきでない。しかし、直接効果もない。
第2会社法指令77/91(76年12月13日):資本金保護
第1条(対象): 株式会社
第6条: 最低資本 2万5千ECU
第9条:出資の25パーセントの払い込みがない限り設立できない
第3会社法指令78/855 (78年10月9日):株式会社の合併
第11条: 株主の情報開示請求権
第4会社法指令78/660(78年7月25日):決算指令
第一指令で決算の公表を要求しているため、投資家が比較できるために必要。
第1条(対象): 株式会社、有限会社;第8条以下: 決算の構成;第31条: 評価原則、例えば換金主義;第47条以下: 決算の公開
第6会社法指令82/891(82年12月17日):株式会社の分解
合併指令と同様に株主保護(情報開示請求権など)
第7会社法指令83/349(83年6月13日):コンツェルン(企業結合)決算
第4指令を補足する公開義務
第8会社法指令84/253(84年4月10日):公認会計士
第6条以下:試験内容;第8条:最低3年間の実践研修
第11会社法指令89/666(89年12月21日):支店についての公開
第1条以下:情報公開、例:手紙等に登記簿番号を記入;第7条以下:第三国(例えば日本)の支店にも情報開示制度
第12会社法指令89/667(89年12月21日):1人社員有限会社
第2条第1項: 1人会社が可能
欧州株式会社(SE)規則
Societas Europeae (ラテン語で「欧州会社」)
2001年10月8日規則2157/2001
指令2001/86(労働者による共同決定)
参照:委員会FAQ、
今までの欧州会社法の中心:各種指令。主に情報公開による社員・その他の関係者の保護を目的とする。
今回は、初めて全加盟国で利用できる統一的組織形態が可能となった。加盟国毎に個別的に加盟国法に基づく会社設立を省略できる。そのため、大幅な簡略化、法務関係費用の節約(年間300億Euroとの推定も)。所在地をA加盟国からB加盟国に移転する際には、解散・再設立が不要になる。
SEの選択が自由。中心登録はしない、所在地加盟国で登録。
30年間の交渉を経て成立したが、最大の争点が労働者による共同決定問題。今回の解決:原則は当事者による交渉。交渉による解決がない場合、また、合併によるSE設立以前、労働者の25パーセント以上に共同決定権が認められていた場合、共同決定に関する原則が妥当することになる。主に、労働者に情報を提示する義務。
国際会計基準に関する規則1606/2002
委員会の2003年5月21日発表も参照:今後、多くの改正を予定している。
国際会計基準への移行を可能とする。詳細は、委員会が決める。
III.不正競争防止法:広告制限
EC裁判所93年5月18日、NJW 1993, 3187 (Yves Rocher)
事実関係:フランスのYves Rocher社が広告で「5割値下げ」を目立つ形で強調。
ドイツの消費者保護団体がドイツ不正競争防止法に基づいて停止を請求。連邦通常裁判所がEC裁判所の解釈を要請と決定。
1986年導入の不正競争防止法第6e条:目立つ形の値段比較を禁止。
品物移動の自由の制限:広告制限も。
消費者保護のために必要か:EC裁判所の結論が消極的。
真正か否かではなく、目立つ強調を禁止する理由がない。
値段についての情報が消費者に有意義。
IV.刑法:妊娠中絶
EC裁判所91年10月4日、EuzW 1993,35 (Grogan)。
事実関係: アイルランドでは、妊娠中絶が禁止であるが、イギリスでは比較的自由。そのため、アイルランドの女性が「中絶観光」に。そのために情報が必要(病院の電話番号など)。被告のGrogan等(学生)がその情報を公開。
SPUC(Society for the protection of unborn children)が差止めを請求。国内裁判所がEC裁判所の解釈を要請。
サービスの自由(EC条約第49条)がGroganの活動を保護?
中絶が医療行為としてサービス。違法なサービスではない。
広告活動も保護。
しかし:Groganが第三者。
I. 最近の動き
フランスに対する勧告
フランスの財政赤字が対GDP3パーセントの基準を超えているため、10月3日まで、適切な対策を採るように、閣僚理事会が勧告を決定した。
公認会計士の監督
アメリカの新しい立法により、EUの公認会計士がアメリカの監督委員会で登録する、その監督を受けることが要求されている。閣僚理事会の決議、この要求に反対している。新加盟国もこの決議に賛意を表明した。
逆に、EUの監督庁がアメリカの公認会計士に登録、監督を受けることになる可能性がある。二重の規制で、適切でない。
インターネットにおける違法・有害情報への対策
1999年の活動計画を延長するように、閣僚理事会が決定した。
コンゴでのEU軍事作戦
閣僚理事会の6月5日の決定により、国連安保理決議1484(5月30日)に基づき、また国連総長の要請を受けて、9月1日を期限にして、EUの安全確保を目的とする軍事作戦が開始された。
ポーランドの国民投票で加盟に賛成
EU拡大の10カ国のなか、最大はポーランド。7日、8日の国民投票で加盟に賛成の結果になったため、予定通り、加盟が可能となった。賛成票は7割以上。
II.賃金請求権と破産(Francovich)
EC裁判所91年11月19日、NJW1992,165。最も回数多く引用される判例。
Francovich氏の使用者が破産。そのため、賃金請求が不良債権に。指令80/987は、賃金請求について保険制度を要請。イタリアが当該指令を実施しなかった。それゆえ、原告がイタリアに国家賠償責任に基づいて損害賠償を請求。
指令の直接適用? 国家に対し権利 、実施期限終了 、具体的。
国家賠償請求(指令の実効性)?。
市民に権利 、権利の内容が明白 、実施期限終了 、因果関係 。
手続きにおける差別禁止。
III. EC裁判所が労働時間指令を維持
96年11月12日判決、指令93/104、93年11月23日。
前文:EC条約第118a条(当時)が根拠、首相閣僚理事会89年12月9日(イギリスが反対)の決定を引用、安全保証・健康保護のために休み時間・最高労働時間などが必要。
第3条:一日当たり最低11時間の連続休み。
第4条:6以上時間連続労働の場合、最低1回の休憩。
第5条:一週間以内最低24時間連続休憩。
第6条:一週間の最高労働時間が48時間。
第7条:有給休暇が年間最低4週間。
第8条:夜間労働は一日8時間まで。
第17条:例外、役員・家族など。
第18条:96年11月23日まで実施、第6条の例外:任意的に追加労働、その場合、官庁による健康・安全保護。
域内市場と労働基準・競争力の関係、社会ダンピング問題。
イギリスが指令に対しEC裁判所に訴え、ECが全員一致でない方法で労働基準を決める権限がないと主張。
IV.妊婦の夜間勤務
EC裁判所94年5月5日、NJW 1994, 2077 (Habermann-Beltermann)。
事実関係: 92年3月23日:原告のHabermann-Beltermann氏が老人介護婦の夜間勤務に採用。 4月29日―6月12日まで病気 。5月29日: 妊娠しているとの証明書を提出 。6月4日:解約。
ドイツ妊婦保護法第8条:夜間勤務が禁止。
指令76/207第2条第1項: 男女差別禁止。
指令に合わせた解釈が必要、Colson,第三者効力。
ドイツ民法第134条の解釈。
直接差別。
解約が不当 、理由:無期限採用 、指令の保護目的 、実効性。
I.質問・感想・希望について
II.最近の動き
医薬品特許と発展途上国
問題:製薬会社の株主を保護するか、それともAIDSなど危険な伝染病に対し、特許値段では予算がない国でも全力で戦うか。
Bill Gates 1995 “The Road Ahead”, 259で既に提案された発想: 国によって別な値段。
その場合の問題点:EUへの逆輸入。
閣僚理事会は5月26日に規則を承認。任意的な制度を製薬業界に提案:制度に参加する薬品を記録、輸出分に明白な印を付ける。輸出値段は原価に15パーセントを足すか、先進国の平均値段を75パーセント割り引くか、いずれかを選ぶ。登録された薬品の逆輸入は違法となる。
III.逆差別の禁止
Kalanke判決(EC裁判所95年10月17日、NJW1995,3109)
事実関係:男性であるKalanke氏がドイツBremen州の園芸局に勤務。課長職に応募したところ、女性だからGlissmann氏が昇任され、Kalanke氏の応募が不成功。原因はBremen州の性差別廃止法第4条第2項。いわゆる「比率規定」。応募者の資格等が同等、応募職種には女性の比率が少ない場合、女性を優先的に昇任。本条が指令76/207に違反するか。
指令76/207第2条第1項: 性別による差別を原則禁止。
第2条第4項: 実際上の不均衡を排除する措置が適法。
指令の個人権利を制限する規定だから限定的に解釈。妥当な制限:奨学金制度、子供保育体制など。 本件「比率規定」は許されない。
Marschall判決
97年11月11日、C-409/95、curia.eu.intによる。
本件事実関係:Marschall氏が学校の先生、出世ポストに応募したところ女性が優先。
Nordrhein-Westfalen州の公務員法第25条第5項第2文:比率で女性が少ない場合、同じ能力の場合には女性を優先、但しとくに競争相手に有利となる理由がある場合、その限りではない。
ドイツの行政裁判所の事実認定:原告と競争相手の女性が同じ能力。
Kalanke判決では「自動的な優先」が差別と判断。本件では「例外規定」がある点ではKalanke判例と事実が異なる。
同じ能力の場合でも男性優先の傾向がある。女性に対する先入観。これらの先入観を解消して差別廃止に逆差別規定、但し「例外規定」が必要、「自動的優先」が許されない。
問題点:「女性に対する差別傾向」が理由となっているが、はたしてNordrhein-Westfalen州でこの傾向があるか。国内裁判所が別に認定していない。
新しいEC条約第141条第4項(以前は第119条)
アムステルダム条約発効(99年5月1日)により導入、Kalanke判例の結果を否定。
「労働生活における男女の完全平等を実効的に確保することを配慮して、男女平等の原則は、加盟国の以下の政策を維持する、または新たに決定することを妨げない:平均を下回っている性別の職業活動を援助する優遇政策、出世における差別を阻止または補償するための優遇政策」。
Badeck 判決(C-158/97)
2000年3月28日 curia.eu.intから
ドイツHessen州で「女性促進法」、それに対し州内で抽象的規範審査の訴え。州憲法裁判所が97年4月16日の決定により、EC条約旧第177条(現在第234条)により、EC裁判所に指令76/207の第2条の解釈を要請。99年5月、Amsterdam条約発効により、上記EC条約第141条第4項が導入された。この条文の解釈が指令違反を肯定する場合に必要となるが、本件では、Kalanke判決(95年10月17日、C-450/93)、Marschall (97年11月11日、C-409/95)の基準を維持したうえ、本件では「自動的優遇」でないため、指令違反を否定。
IV. 労働法:賃金支払いの継続
BAG(ドイツ連邦労働裁判所)94年4月27日、EuZW1994,574(Paletta)。
事実関係:原告のP1・P2・P3・P4(イタリア人家族)は被告の元社員。毎年休暇帰国の後、病気のため欠勤。
89年:8月12日まで休暇。P1は8月7日、P2は7月27日、P3は7月31日、P4は8月2日から、病気。イタリアの医師の証明書が賃金支払いの継続のために充分か。
規則574/72の第18条: 使用者が拘束。(EC裁判所92年6月3日、DB1992,1577)。 理由:労働者移動の自由。
BAG: 権利の濫用?
EC裁判所96年5月2日、NJW 96,1881: 権利の濫用、詐欺の立証がある場合、EU法の保護がない。但し、立証責任を労働者に負わせることは許されない。
BAG97年2月19日、EuZW 97,540: 詐欺、権利の濫用が立証される場合、支払の継続を否定。事実関係の確認のため、判決を破棄、差し戻し。
I.最近の動き
1995年データ保護指令実施報告
指令46/1995、1995年10月24日。
2003年5月16日委員会発表。
http://k.lenz.name/LB/archives/000341.htmlも参照。
フランスが今でもまだ実施していない。
他の加盟国も実施が遅れた。そのため、経験がすくないので、本件指令に関する改正案は現段階には適切でない。
世界的に見て、最高のレベルのデータ保護。
特に第三国との関係で多くの課題が残っている。今後その第三国との関係の監督に特に力を入れるべき、との主張。
II.消費者保護:製造物責任関連規制
安全規格についての規定、CEマーク。
1985年までの旧式規制:全ての技術的詳細まで閣僚理事会で決定。
1985年5月7日の決議:基本的な安全規格を指令で、詳細はCEN段階(欧州規格委員会)。
例:玩具の安全規格についての指令88/378、1988年5月3日
第2条:子供の通常の態度を考慮して、利用者・第三者の安全・健康に危険でない。
第3条:付属書で必須要求事項を決定、例えば飲み込みの危険がない、電圧が最高24V。
情報交換緊急連絡網:製造物の一般安全規格指令92/59、1992年6月29日、第8条。指令2001/95(2001年12月3日)の第10条。
指令2001/95第3条:製造者の義務についての一般条項:
安全な製造物のみ。
同第5条:警告、危険性の発見・製造物の呼び戻しのために体制作り(例えば:製造物に番号を付ける、苦情についての調査など)
販売業者の監視義務、同第5条第2項
2002年から相互承認協定を実施。EU・日MRAの比準:閣僚理事会9月27日決定、OJ L 284/1(10月29日)。
MRA:Mutual Recognition Agreement(相互認容協定)。以前アメリカとの関係で既に整備。各種安全基準合格確認について、EU・日本の組織が相手の基準を適用して合格を確認できる。例えば、通信機器に関する指令1999/5を、総務省が指定する検査機関が日本国内で適用。
III. 消費者保護:訪問販売
指令85/577、1985年12月20日。
理由(前文):域内市場、消費者保護、不意打ち、比較の可能性がない。
第1条(適用範囲):小旅行、消費者の住宅、消費者の職場。
第3条:保険契約には適用しない。
第5条:撤回権(7日間以内)、第4条:消費者に書面で撤回権を説明する義務。
ドイツの実施:1986年1月16日の法律(連邦議会可決:1985年11月14日)。
岡・山本、判例タイムズ648に翻訳。
第1条:路面での不意打ちも対象。
実施が指令の成立より前、加盟国での立法とEU段階の立法が同時進行。
IV. 訪問販売:指令の直接第三者効力?
EC裁判所1994年7月14日判例、EuZW 1994,498(Dori)。
イタリア人が訪問販売契約と締結、撤回権を認めるイタリア法が未実施。
指令と規則、指令は原則として直接効力を有しない。
但し:国家に対する権利を認める、具体的である、実施期限が過ぎた場合には例外。
理由:国家が違法な態度(指令無視)によって利益を得てはならない。
第三者(市民と市民の関係)では、この例外の理由がないため、直接効力を認めない。
国家賠償責任(Francovich)と指令に合わせて解釈(v.Colson)で救済の可能性。
V.電子取引指令
指令2000/31/EC、2000年6月8日。
第3条:テレビ指令と同様、原則は情報源での監督広告規制。
第6条以下:第6条(a):広告であることが明白第7条:電子メールによる勝手広告(spam)について:受信の時点で広告であることが明白、opt-out。
第8条:弁護士など規制職業でも、ホームページを開くことが倫理違反でない、自由。
第12条以下:接続業者の民事・刑事責任。単なる接続提供、一時保存(Cache)については、責任がない。会員情報提供(hosting)の場合、要請に応じて削除が充分、監視義務を否定。
I.最近の動き
欧州記念日(5月9日)
1950年5月9日: Schuman宣言。
ドイツ・フランスの鉄鋼、石炭の製造、配布を共同管理。更なる経済統合への第一歩と同時に、戦争を物理的に不可能とする狙い。
その後:1951年4月18日に欧州鉄鋼・石炭共同体条約調印。1957年3月25日に体条約および欧州原子力共同体条約を調印。1993年Maastricht条約により通貨統合、欧州連合設立。
II. II. EUと民主主義(EUの機関)
影響力の順:閣僚理事会、委員会、EC裁判所、EC議会。
閣僚理事会:加盟国の代表(閣僚)、問題によって構成が異なる。
年2回以上「首相閣僚理事会」、議長国が6ヶ月ごとに交代。
立法手続きの中心、そのため、加盟国の発言力が強い。
委員会:20名の委員(ドイツ、フランス、スペイン、イタリア、イギリス各2名、その他1名)、1万人以上の公務員、EUの行政。立法の準備、競争法の執行、第三国との交渉。
EC裁判所:なぜ「EU裁判所」と訳しないか、法務官制度、最も重要な管轄:EC条約第234条に基づく先決手続き。その他:条約侵害の訴え、取り消しの訴え。
EC議会(国内議会との相違点):委員会を選定する権限がない、立法は拒否できる場合があるが、積極的に制定する権限がない、全領域の政党および世論がない、全領域のマスコミもスポーツや音楽を別にするならない。「民主主義の欠如」問題。
立法権限がEUへ移転することによって加盟国段階の民主主義問題、ドイツ連邦憲法裁判所のMaastricht判決, BVerfGE 89, 155 (1993年)。
最大の問題点:閣僚理事会(立法の中心)での交渉が非公開。
III. EU法と国内法:私法:消費者保護:製造物責任
指令85/374、85年7月25日。
実施期限:3年(第19条)、加盟国の報告義務(第20条)、委員会の5年ごと定期報告(第21条)。
前文:異なる規制が域内市場で流通の障壁、無過失責任、輸入業者の責任。
第1条:製造者の危険責任(原則)。
第2条:製造物の定義、すべての動産と電気、農産物は「製造物」でない。但し、指令99/34(99年5月10日により改正、農産物についての例外を廃止)。
第3条:製造者の定義、製造者・商標を付ける業者・輸入業者、製造者を確定できない場合には販売業者。裁判所管轄および判決執行についての条約(1968年9月27日)との関係。
第9条:損害賠償の範囲、死亡、物の損傷:500ユーロの自己負担、私的目的使用が前提。
第16条:加盟国が賠償総額を7000万ユーロ以上の金額に限定できる。
ドイツの実施法:1989年12月15日の製造物責任法、1990年1月1日から施行。
第1条:危険責任、範囲が指令と同じ。
第10条:責任総額を8500万ユーロに限定(ユーロへの変更は2002年7月19日の立法による。
IV. 消費者保護:製造物責任関連規制
安全規格についての規定、CEマーク。
1985年までの旧式規制:全ての技術的詳細まで閣僚理事会で決定。
1985年5月7日の決議:基本的な安全規格を指令で、詳細はCEN段階(欧州規格委員会)。
例:玩具の安全規格についての指令88/378、1988年5月3日
第2条:子供の通常の態度を考慮して、利用者・第三者の安全・健康に危険でない。
第3条:付属書で必須要求事項を決定、例えば飲み込みの危険がない、電圧が最高24V。
情報交換緊急連絡網:製造物の一般安全規格指令92/59、1992年6月29日、第8条。指令2001/95(2001年12月3日)の第10条。
指令2001/95第3条:製造者の義務についての一般条項:
安全な製造物のみ。
同第5条:警告、危険性の発見・製造物の呼び戻しのために体制作り(例えば:製造物に番号を付ける、苦情についての調査など)
販売業者の監視義務、同第5条第2項
2002年から相互承認協定を実施。EU・日MRAの比準:閣僚理事会9月27日決定、OJ L 284/1(10月29日)。
MRA:Mutual Recognition Agreement(相互認容協定)。以前アメリカとの関係で既に整備。各種安全基準合格確認について、EU・日本の組織が相手の基準を適用して合格を確認できる。例えば、通信機器に関する指令1999/5を、総務省が指定する検査機関が日本国内で適用。
I.最近の動き
徴兵制度と男女平等
EC裁判所2003年4月11日判決、Dory
2001年4月、ドイツの行政裁判所が質問を提示。
2000年のKreil事件判決では、女性の任意的な連邦国防軍就職を拒否できないとされたため、男性のみを対象とする徴兵制度がEU男女平等法(EC条約第141条、指令76/207)を侵害、と原告が主張。
行政裁判所の判断:男性のみが就職が遅れることが不利。ただし、女性のみが妊娠による職業上の負担を負うため、平等違反ではない、との可能性がある。そのため、EC裁判所の解釈を要請。
EC裁判所:徴兵制度を選択することは、加盟国段階の判断。その判断を行う場合、必然的に生じる男女差別法違反には優先。加盟国の判断を尊重。
批判:徴兵制度を導入しても、それを男性に限定する必要は説明されていない。また、現代では、その説明も不可能。したがって、逆にヨーロッパ法違反を認めるべき。
II. Simmenthal EC裁判所1978年3月9日、NJW 1978, 1741
事実関係:Simmenthal社がイタリアに牛肉を輸入する際に高額な検査料、輸入妨害、当該料金の根拠となるイタリア国内法がEC法に抵触。
訴訟法問題。国内裁判官の権限とEC法要求の実現。立法者・憲法裁判所の判断が必要か、それとも各下級審の裁判官もEC法違反のために適用しない権限を有するか。
EC裁判所:裁判官ならだれでもEC法に反する国内法を適用しない権限を有する
理由:統一的・直接妥当(EC条約第189条、現在は第249条)、加盟国の義務は裁判官の義務、実践的効果、先決手続きの効率。
III.Francovich EC裁判所1991年11月19日、NJW 1992, 165
EC裁判所の数ある判例の横綱。
指令を期限内に実施しない場合、加盟国が市民に対し損害賠償義務。
賃金請求の破産保障が問題、加盟国法が存在しないことがEU法違反。
加盟国法がEU法に反する場合、適用しない(Costa, Simmenthal)。
そもそも加盟国法が存在しないことが問題なら、適用しないことが問題解決にならないため、Francovich判例による対策が必要となる。
IV.国内憲法基本権とEU法:Solange1、BVerfGE 37,271(1974年)
Solange: 「の間に」、今後の判例変更を既に予告
1974年現在、EU段階の基本権保障が充分でない
その状況が続く「の間に」は、連邦憲法裁判所による保障。
EC条約には包括的な人権保障がない、部分的のみ(例えば第119条、男女差別禁止)(当時、今は第141条)。
V.国内憲法基本権とEU法:Solange 2、BVerfGE 73,339(1986年)
1986年現在:EC裁判所の判例法による人権保障が充分と評価。
EC裁判所が充分に人権を保障する「の間に」は、逆に保障権限を行使しない。
VI. 国内憲法基本権とEU法:Maastricht, BVerfGE 89, 155 (1993年)
欧州連合を設立する条約、マーストリヒト条約。
他加盟国では国民投票、ドイツでは憲法訴訟、人権保障が争点の一つ。
今回の結論:原則として保障が可能、但し:EC裁判所との「協力関係」、不可欠な最低基準に限って保障。
私見:妥当根拠、訴訟における最高裁判所、人権保障の伝統が二次法より重要、充実した人権保障が統一妥当に優先、人権を侵害する二次法の統一妥当が不要。
VII. 国内憲法基本権とEU法:タバコ警告
連邦憲法裁判所第2法廷決定、97年1月22日, BVerfGE 95, 173。
「EC健康大臣:喫煙はガンを起こす」。
「EC健康大臣:喫煙は心臓病を起こす」など警告をタバコの箱に付ける義務。
タバコ会社が基本法第5条を主張、消極的機能。
侵害されていない。品物販売の際、討論の際ではない。自分の意見でないことが明らか。
基本法第12条、職業に従事する自由:必要以上の制限ではない。
「交通事故、AIDS、アルコール、麻薬、殺人、自殺を足しても、喫煙はそれより多くの人を殺している」。
EU段階の指令に基づく立法。憲法第5条または第12条違反が成立する場合、EU法の指令とドイツ憲法が対立することになる。本件ではこの問題を判断する必要がない。
I.最近の動き
拡大条約調印
アテネ、4月16日、http://www.eu2003.gr/en/cat/39/。
非公式な首相閣僚理事会。
新しい加盟国:ポーランド、チェコ、ハンガリーなど中央ヨーロッパ10カ国。
ポーランドの場合:違法侵略戦争に参加したため、疑問:
http://k.lenz.name/LB/archives/000201.html。
しかし、イギリスも同罪。結局、1997年の決議で要求した「国際法尊重」基準を厳格に考えることなく、ポーランドの加盟も認める。
但し、現在の加盟国段階で条約の批准が必要。その段階で改めて問題が生じる可能性もある。
EC意匠(Community Design)登録開始
europa.eu.int/comm/internal_market/en/indprop/design/
4月1日から登録開始。根拠:
規則6/2002(2001年12月6日)、
登録は権利保護資格の審査を前提としない。後に問題が発生した場合、初めて登録の条件を検討することになる。条件:意匠が新しいものであり、個別的(individual)なもの。
保護機関は最大25年間。費用は最初の5年間のために230ユーロ。
同時に各加盟国での登録も依然として可能。
II.EU法の優先
X加盟国の国内法がA、EU法がBと対立した場合:三つの可能性。
全領域B、X国内Aその他B、X国民についてA・EU外国人についてB。
ドイツの場合:EC裁判所と連邦憲法裁判所の判例が対立。
EC裁判所の考え:Costa, Simmenthal, Francovich。
III.Costa、EC裁判所1964年7月15日判例、NJW 1964, 2371
先決判決要請、イタリアの国内法がEC法違反のために無効か。
EC条約第177条(当時、今は第234条)、「効力についての質問」・「解釈についての質問」。
イタリア法の効力について判断する権限ない、要請の解釈。
イタリア政府の主張:不適法、「国内裁判所は国内法を適用せよ」。
EC裁判所:EC法はすべての国内法に優先、二次法も憲法に優先。
但し:適用の優先、無効の効果がない、その結果、外国人優遇。
理由:実践的効果(effet utile)、加盟国による一方的な改正の可能性(lex posterior原則の例外)、規則の統一的・直接妥当(EC条約第189条(当時)、今は第249条)、EC法が固有の法体系、国内法の一部ではない。
IV.Simmenthal EC裁判所1978年3月9日、NJW 1978, 1741
事実関係:Simmenthal社がイタリアに牛肉を輸入する際に高額な検査料、輸入妨害、当該料金の根拠となるイタリア国内法がEC法に抵触。
訴訟法問題。国内裁判官の権限とEC法要求の実現。立法者・憲法裁判所の判断が必要か、それとも各下級審の裁判官もEC法違反のために適用しない権限を有するか。
EC裁判所:裁判官ならだれでもEC法に反する国内法を適用しない権限を有する
理由:統一的・直接妥当(EC条約第189条、現在は第249条)、加盟国の義務は裁判官の義務、実践的効果、先決手続きの効率。
V.Francovich EC裁判所1991年11月19日、NJW 1992, 165
EC裁判所の数ある判例の横綱。
指令を期限内に実施しない場合、加盟国が市民に対し損害賠償義務。
賃金請求の破産保障が問題、加盟国法が存在しないことがEU法違反。
加盟国法がEU法に反する場合、適用しない(Costa, Simmenthal)。
そもそも加盟国法が存在しないことが問題なら、適用しないことが問題解決にならないため、Francovich判例による対策が必要となる。
I.最近の動き
ドイツ連邦議会が著作権法改正を承認
EUの著作権に関する指令2001/29を実施。
2段階の立法手続き:EU段階で枠組み、各加盟国の立法者(この場合、ドイツの連邦議会)が実施立法を制定する義務を負う。4月11日法案承認。
DRM(Digital Rights Management、電子権利管理)に関する規制:著作権を保護する技術の解除・回避を禁止。(日本では不正競争防止法第2条第10号、著作権法第120条の2、平成11年法77)。
EU法、ドイツ法の特徴:著作権の各制限(例えば教育上の利用、引用など)について、権利者が保護手段を外す手段を提供しなければならない義務を負う。技術保護で著作権を一方的なものに強化することが許されない、との考え方。
イギリス、フランスなどを提訴
廃棄車体の処分に関する指令2000/53を2002年4月の期限までに実施していない。
その場合、EU委員会がEC裁判所に条約侵害確認の訴えを提起することができる。EC裁判所の扱う条約侵害確認の訴えで、指令を実施していない場合が一番件数が多い。
更に放置する場合、第2次確認の訴え、強制金との制裁も可能。
II.自己紹介
略歴:担当がEU法とドイツ法。EU法と国内法の関係が重要、最初に説明。
業績はホームページk.lenz.nameを参照。条分番付六法の発想(日本法についてk.lenz.name/jbr/index.htmlで発表)、基準、EU法講義での利用。
III.本年度講義の内容・方法等を説明
IV.EU法の法規
一次法と二次法、CELEX番号。
例えば上記指令2001/29の場合:32001L0029。
しかし、いまは
europa.eu.int/eur-lex/en/search/search_lif.html
で検索する場合、年度と番号だけで充分。
二次法:規則、指令
規則:直接、統一、国内立法ない。
指令:原則として直接効力ない、国内立法による実施。
指令形式の利点:加盟国の主権、近似以前の出発点。
目標のみ決定、達成方法について加盟国の責任・権限。
訳語問題:「命令」「方針」と「指令」。
実施期限、委員会・市民からの圧力(Francovich)。
V.EUとECの関係
EUの三つの柱:EC、共同外交、内務・司法協力。
EC:経済的統合、出発点と中心。
共同外交:たとえばイラク政策。利点:発言力。問題点:共同立場がない場合、例えばイギリスの違法戦争参加。
第3柱:例えばEuropol (欧州警察庁) 。
域内市場、国境廃止のため協力が必要。
欧州連合条約(マーストリヒトMaastricht条約):93年11月1日ドイツ連邦憲法裁判所の判決を受けて効力発生、第2・第3柱導入、以前のEECがECに、EU市民権、通貨統合。
99年5月1日からAmsterdam条約が発効。第3柱の名称が「刑事事件における警察と司法の協力」に、EC裁判所の管轄がある程度認められる(欧州連合条約新第35条)、EC裁判所からEU裁判所への展開。
VI.EU法の優先
X加盟国の国内法がA、EU法がBと対立した場合:三つの可能性:
全領域B、X国内Aその他B、X国民についてA・EU外国人についてB。
ドイツの場合:EC裁判所と連邦憲法裁判所の判例が対立。
EC裁判所の考え:Costa, Simmenthal, Francovich。
VII.Costa、EC裁判所1964年7月15日判例、NJW1964, 2371
先決判決要請、イタリアの国内法がEC法違反のために無効か。
EC条約第177条(当時、今は第234条)、「効力についての質問」・「解釈についての質問」。
イタリア法の効力について判断する権限ない、要請の解釈。
イタリア政府の主張:不適法、「国内裁判所は国内法を適用せよ」。
EC裁判所:EC法はすべての国内法に優先、二次法も憲法に優先。
但し:適用の優先、無効の効果がない、その結果、外国人優遇。
理由:実践的効果(effet utile)、加盟国による一方的な改正の可能性(lex posterior原則の例外)、規則の統一的・直接妥当(EC条約第189条(当時)、今は第249条)、EC法が固有の法体系、国内法の一部ではない。